北朝鮮当局が「建設の質」を強調しつつも、金正恩時代の「時代語」である「朝鮮速度」を主張し続けているため、第2の平川区域マンション崩壊事故はいつでも発生するとの指摘が出ている。金正恩が目に見える成果のみ強調すればするほど、ずさんな工事へとつながり深刻な崩壊事故は避けられないと言えよう。
脱北者たちはこうした状況を北朝鮮当局は知らないはずはないと口をそろえる。それにもかかわらず建設資材が不足する北朝鮮で、金正恩が「質」と「速度戦」を強調するという矛盾した動きの背景には、リーダーシップ強化と功績作りに向けた焦りがあると指摘される。
元高級幹部の脱北者は「速度戦は金日成の時代から続く、北朝鮮式社会主義体制の優越性を宣伝するための宣伝物。崩壊事故がまた発生したとしても、金正恩時代に新たに登場した『朝鮮速度』を諦めることは容易ではない。民心を確保し体制の安定化を図るためにも、住民のための成果を何としてでも見せなければという強迫観念に縛られている」と話した。
北朝鮮では大規模建設が行われるために必要な鉄筋やセメントなどの資材が適期に供給されず、供給されたとしても幹部が横流ししてしまうため、「建設の質」の保証は最初から不可能と脱北者たちは指摘する。