北朝鮮当局が最近、中国を往来する華僑に対する動向監視と追跡を強化したと伝えられる。華僑を「体制を脅かすスパイ」と認識し、帰国時には脅迫に近い調査を実施していると情報筋が伝えてきた。

平壌のデイリーNK内部情報筋によると、中国に行って来た華僑は保衛部(秘密警察)に呼びだされ、滞在期間中に何をして誰に会ったのかと聞かれる。保衛部の取調官は「◯月◯日にどこそこの食堂であった人物は誰か」という具合に取り調べ対象の行動を詳しく把握している。

かつては1回調査を受ければ終わりだったが、今では何度も呼び出されてて「不純勢力との接触はなかったか」と厳しく追求され、脅されることすらある。監視強化で華僑同士の不信感も高まりつつある。

ある華僑は「中国に行くと監視を受けるようで怖い」「スパイを見るような保衛部の視線が気に障るが、ビザ問題があるため我慢するしかない」と話しているという。

情報筋によると、当局は北朝鮮在住華僑に対して特に関心を持たなかったが、1990年代以降、北朝鮮市場に中国製品が流通するようになり、「存在価値」が上昇し始めた。

華僑は北朝鮮住民とは異なり中国ビザの発給が容易なため、中国製品を持ち込む役割をするようになった。中国ビザを取り扱う外事課(保衛部反探課所属)との緊密な関係を維持しながら、当局と外部との金稼ぎの窓口役をしてきた。

しかし最近に入り、外部との接触を行う華僑の活動が活発になったため、「外部からの情報流入」と「内部からの情報流出」を恐れた当局が取り締まりを強化している。今年4月には、華僑を懐柔、脅迫し北朝鮮に帰国された事例が確認されている。

中国の北朝鮮情報筋は、華僑に対する締め付け強化について次のように説明した。

「金正恩氏が政権についてから、保衛部の華僑の見方が急激に変化した。北朝鮮出身で中国に在住する華僑の動向を監視したり、露骨な締め付けを行ったりするようになっている。かつて、保衛部は華僑を使って中国関連のビジネスを行うことも多かったが、最近では『北朝鮮当局が隠したい恥部』を外国に売る仲介者と見なすようになった」

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