北朝鮮のほとんどの地域では、雨が全く降らないか、時折雨が降る程度で、春の干ばつを解消するには全く不十分な状態となっている。こうした状況が続く場合、今年の食糧生産高に影響があるのではと懸念の声が出ている。
韓国気象庁は28、29日の両日、中部地方に雨(降水確率60~80%)が降ると藍?オた。しかし平壌の降水確率は30%にとどまり、春の干ばつが他地域に比べ深刻な黄海南北道の2日間の降水量は10mm程度と、現状を解決するには程遠いと見通される。
朝鮮中央通信は17日、「干ばつ通報」を通し、「春になり西海岸中部地方では雨が全く降っておらず、深刻な干ばつ現象が発生している」と伝えている。
同通信によると、2月中旬から現在までの約2か月間の黄海南北道の平均降水量は3.1mmで、例年の数値と比べ観測史上最低値を記録。特に黄海北道のサンウォン、ウンパ、スアン、サリウォンと黄海南道のクァイル、アヌァク、ヘジュ、ウンチョンなどは1mmにも到達しなかった。
同通信は先月24日にも気象台の発浮??pする形で、平安南道と黄海道で干ばつが深刻だとし、「南方から流れてくる暖かい気流と風が頻繁に吹く春の気候の特性により、土壌の湿気の蒸発まで増え、干ばつが次第にひどくなる見通し」と報道している。
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農村経済研究院のキム・ヨンフン専任研究委員はデイリーNKに「現在は苗床に水が浸みればいい程度であり、栄養団地には水が大量に必要ではない状況であるため、田植え前に十分な降水が確保されれば干ばつは解決される。現在の状態が田植え期まで続くとなると、食糧生産高に影響がある可能性がある。現時点での断定は不確実なため、しばらく様子を見る必要がある」と話した。
元高位幹部の脱北者は「水分が土地に浸みこんでいないと種が発芽しない。降水確率が30%だと現在の干ばつ状態が続く可能性が高くなるため、発芽が難しくなる。実質的に今発芽が遅れると長期的に干ばつ状態となる時期には作物が育たないことになり、収穫量が減少するだろう。北朝鮮で降水量が減少した背景には、木がないために山林が荒廃化したことが大きく影響している。昨年、北朝鮮では豊作とり、金正恩の業績だと宣伝しているが、今回のように発芽からうまくいかない場合、何と宣伝するか気になる」と話した。
北朝鮮当局は干ばつ被害を最小化するための能力が不十分だ。韓国は雨水貯蔵施設が整備されているが、北朝鮮は労働力以外には効果的な対応手段がない。
脱北者らによると、北朝鮮では干ばつが発生すると住民が水を背負ってトウモロコシ畑に水を撒き発芽を促す。いわゆる「模範農場」や金正日の成果物と宣伝される果樹農場には潅漑施設があることもあるが、トウモロコシ、稲、麦などを収穫する農場のほとんどは潅漑施設がなく、労働力が動員される。
北朝鮮は2012年春にも深刻な干ばつにより、ジャガイモ、麦などの二毛作作物が大きな被害を受けている。