ロシア極東ハバロフスク地方のコムソモリスク・ナ・アムーレにある「ユーリ・ガガーリン記念航空機工場(KnAAZ)」で、現地時間11日夜、大規模な火災が発生した。同工場はロシア軍の最新鋭ステルス戦闘機「Su-57」の主力生産拠点として知られており、今回の火災による生産ラインの壊滅的な損傷が懸念されている。

SNS上に投稿された映像や地元メディアの報道によると、激しい炎が工場の建物から噴き出し、夜空を赤く染めた。火元は複合材料の部品製造を担う「第46作業場」とみられる。この区画では、Su-57や多用途戦闘機Su-35に使用されるエルロン(補助翼)や翼端フェアリングなど、約300種類に及ぶポリマー複合材部品を生産していた。

軍事専門家は、今回の火災がロシアの航空戦力増強計画に与える影響は計り知れないと指摘する。複合材の成形には特殊な大型オートクレーブ(圧力容器)や精密な金型、高度な環境管理が必要とされる。これらの設備は一度失われると再調達や設置に数年を要する場合が多く、他工場での代替生産も容易ではない。

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プーチン政権は、ウクライナ侵攻が長期化する中で最新鋭機Su-57の量産を急ピッチで進めてきた。しかし、機体の心臓部ともいえるステルス性能を支える複合材部品の供給が止まれば、最終組み立てラインは完全に停滞することになる。

現時点でロシア国防省や運営母体のユナイテッド・エアクラフト・コーポレーション(UAC)からの公式声明は発表されていない。出火原因についても、設備の老朽化や作業ミス、あるいは破壊工作の可能性を含め、当局が慎重に調査を進めているとみられる。