「地方工場建設を10年間行うというのが元帥様(金正恩氏)の方針だが、そうすれば自分が除隊するまでずっと建設ばかりしなければならないではないか。それはともかくまずは空腹に耐えられない。さらに仕事があまりにもきつくてつらい。それで、生活除隊(不名誉除隊)の処分を受けようと、わざと脱走した。生活除隊(不名誉除隊)させてほしい」
朝鮮人民軍の食糧事情の劣悪さは今に始まったことではない。食糧は農場から供給されることになっているが、損をすることを嫌った農民は、穀物を隠匿して、軍への供出を少しでも減らそうとする。供出後、輸送の過程では横流しが行われる。かくして、兵士のもとに届く頃には量がすっかり目減りする。
横流しされたものは、市場で売り払われるが、国はこの「悪循環」を断ち切るために、市場での穀物売買を禁止し、国営の糧穀販売所だけで販売できるようにした。しかし、過去30年間に自然に形成されていった、末端の兵士を犠牲にするこのような流れを断ち切ることは非常に難しい。
(参考記事:国民を絶望させた、北朝鮮軍「瘦せこけた少佐たち」)取り調べ担当者は、脱走を図った兵士にこのように尋ねた。
