米空軍のA-10「サンダーボルトII」が、中東の空で新たな「獲物」を狩り続けている。かつてソ連軍の戦車軍団をなぎ倒すために設計された巨体がいま、狙いを定めているのは、安価で執拗な自爆ドローンだ。この任務において、A-10の右腕となっているのが、精密誘導ロケット弾「APKWS II(先進型精密殺傷武器システム)」である。

30年越しの悲願、APKWSの開発史

APKWSのルーツは、ベトナム戦争時代から使われている「ハイドラ70」無誘導ロケット弾にある。米軍はこの安価なロケット弾に「誘導能力」を持たせようと、1990年代から開発に着手した。しかし、その道のりは平坦ではなかった。

当初の開発計画は、コスト超過や技術的困難により2005年に一度キャンセルされるという苦い過去を持つ。しかし、イラクやアフガニスタンでの非対称戦が激化するなか、「ヘルファイア」ミサイル(1発約15万ドル)を撃つには値しない小規模な標的を、安価に、かつ精密に破壊する手段が切望された。

2008年、BAEシステムズが主導する形で開発が再開。既存のロケット弾の「頭部(信管・弾頭)」と「モーター(推進部)」の間に、レーザー受光部を備えた「誘導セクション」を挟み込むという画期的な設計により、1発約2万5000ドルという低価格での精密誘導を実現した。これが2012年に実戦配備された「APKWS II」である。

A-10との「最高の相性」

本来、ヘリコプター用として普及したAPKWS IIだが、A-10との組み合わせは、現代のドローン戦において「最良の解」となった。そこには3つの理由がある。