黄海上空で米空軍と中国空軍が一時対峙(にらみ合い)した今月18日、同じ時間帯に航空自衛隊の戦闘機が中国東部沿岸付近まで飛行していた可能性が浮上し、日米が連携して対中牽制行動を取っていたとの見方が強まっている。

韓国の軍事専門家である辛寅鈞(シン・インギュン)自主国防ネットワーク代表は21日、自身のユーチューブ番組で、民間の航空機監視データを基にした航跡分析結果を公表した。それによると、石川県の小松基地を離陸した空自のF15J戦闘機が沖縄方面の空域を経由し、東シナ海を南下して中国東部・浙江省沿岸方面に接近する飛行経路を取っていたという。

辛氏は、同日に発生した米中空軍機の対峙について、中国側のスクランブル体制や初動対応能力を探る目的で、米軍が意図的に仕掛けた可能性が高いと分析。黄海上空での接近行動は、中国空軍がどの程度の速さと規模で迎撃態勢を構築できるかを把握するための“反応試験”だったとの見方を示した。

その上で、日本の戦闘機が同時に中国東岸方面を「圧迫していた」とすれば、日米が連携して中国全体の防空対応能力を立体的に測定した可能性があると指摘した。

(参考記事:中国の最新鋭機も無力化…空自F-15の「切り札」電子戦装備

18日には、在韓米軍のF16戦闘機約10機が黄海上空で大規模な訓練を実施中、中国空軍が戦闘機を緊急発進させ、双方が一時対峙した。互いの防空識別圏への侵入はなかったものの、接近距離は数十キロ以内に達したとされ、偶発的衝突の危険性が指摘されている。

辛氏はさらに、黄海で行動した米軍機群が、横田基地および沖縄方面から発進したKC767空中給油機による支援を受けていた可能性にも言及。在日米軍の協力の下、長時間にわたる作戦行動を可能にする態勢が構築されていたと分析した。

こうした航跡分析は、航空機が発信するADS-B信号を世界中の受信機ネットワークで収集・可視化するオープンソース情報を活用する手法に基づく。戦闘機は通常、信号を秘匿するが、給油機や早期警戒機などの支援機は発信を続けることが多く、その動きから作戦全体の構図を逆算するのが専門家の常套手段とされる。