2026年2月、京畿道加平で韓国陸軍のAH-1S「コブラ」攻撃ヘリコプターが訓練中に墜落し、操縦士2人が死亡した。非常着陸手順を想定した訓練の最中だった。機体は導入から35年以上が経過した老朽機で、事故後、同型機は全機運航停止となった。韓国軍の航空戦力が抱える構造的な老朽化問題が、改めて浮き彫りとなった。

この事故は単発ではない。2018年以降、韓国軍では老朽化した航空機による墜落事故が相次ぎ、北朝鮮という「主敵」との実戦に至る以前に、訓練や平時運用の中で多数の尊い命が失われてきた。

象徴的なのが、韓国海軍のP-3CK海上哨戒機である。2018年9月、慶尚北道浦項沖で訓練中に墜落し、搭乗員5人全員が死亡した。機体は1970年代製のP-3Cを改修したもので、機体疲労やエンジンの老朽化が指摘されていた。さらに2025年5月にも同型機が浦項基地を離陸直後に急降下して墜落し、4人が犠牲となった。わずか7年間で2度の全損事故が起き、計9人の命が失われた。

空軍でも深刻な事故が続いた。2022年1月、江原道でKF-5E戦闘機が墜落し、操縦士1人が死亡。同年3月にはKF-5Fが黄海上に墜落し、2人の操縦士が帰らぬ人となった。KF-5は米国製F-5のライセンス生産機で、設計は1960年代にさかのぼる。韓国では40年以上にわたり運用され、電子機器や機体構造の疲労が限界に達していた。

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これら三機種の事故により、2018年以降に失われた搭乗員は少なくとも14人に上る。「主敵」である北朝鮮との交戦が生じているわけでもないのに、老朽化した航空機そのものが命を奪っているという現実は、韓国軍の装備運用のあり方に深刻な疑問を投げかける。

背景には、予算制約や新型機導入計画の遅延がある。KF-5の後継として予定されていた軽戦闘機FA-50の配備は想定より遅れ、P-3CKの代替となるP-8A哨戒機も導入数が限定されてきた。攻撃ヘリも、米製AH-64Eや国産軽攻撃ヘリ(LAH)への更新が進む一方、完全な置き換えには至っていない。その結果、旧式機を「限界まで使い続ける」運用が常態化した。

さらに、韓国軍は実戦を想定した高強度の訓練を日常的に行っており、夜間・低空・海上といった過酷な環境下で老朽機を酷使してきた。専門家の間では「整備努力だけではもはやカバーできない段階に入っている」「事故は偶然ではなく必然」との見方が強まっている。