北朝鮮は現在、複数の管理所や教化所を運営し、最大で約6万5000人が強制労働に従事していると分析されている。こうした実態は国際社会から深刻な人権問題として強く批判され、対北制裁の理由の一つにもなってきた。しかし、北朝鮮当局が改善に向けた姿勢を示すことはなく、現状は放置されたままだ。
そもそも、最高指導者の金正恩総書記は、制裁自体を意に介さないかのような行動を繰り返し制裁の実効性を嘲笑しているかのようにも映る。
制裁を意に介さない金正恩体制の姿勢は、拘禁施設における強制労働の現場にも変化として表れ始めている。その一つが、中国との間で行われてきた域外委託加工貿易の構造変化だ。複数の情報筋によれば、中国から原材料を輸入し、北朝鮮で加工した後、完成品を中国へ再輸出する取引において、一般住民による家内作業班に割り当てられる仕事量は、新型コロナウイルス流行前と比べて半分以下に減少した。
昨年下半期には一時的に注文が回復する兆しもあったが、北朝鮮側の貿易会社による単価引き上げ要求に加え、品質低下や納期遅延、納品トラブルが相次ぎ、中国の事業者の間では北朝鮮との取引を控える動きが広がった。その結果、家内作業班に回る仕事は再び減少し、住民の現金収入源は細っている。
現在生産されているのは、人形や帽子、かばん、毛布、座布団などだが、完成品の単価は1元未満にとどまる。一日中作業しても得られる収入は数元程度で、物流費や通関費を差し引けば、労賃として支払える金額はほとんど残らない。このため、一般住民で構成された家内作業班の運営は次第に立ち行かなくなっている。
その一方で、新義州の白土教化所をはじめとする拘禁施設や、輸出向け被服工場など、労賃を支払う必要のない機関に委託加工が集中する傾向が強まっている。関係者はこれを、北中委託加工貿易における労働力の「強制労働への置き換え」とみており、今後も無償で管理可能な労働力を前提とした取引が拡大する可能性が高いと指摘している。
