北朝鮮の金正恩国務委員長(朝鮮労働党総書記)が、再選されたベトナムのトー・ラム共産党書記長に祝電を送り、両国関係の強化を強調した。26日、北朝鮮の国営メディアが伝えた。旧社会主義国との連帯を積極的に演出する一方で、中国に対しては異例とも言える距離感を示しており、北中関係の冷却化が改めて浮き彫りになっている。

報道によると、金正恩氏は今月23日付の祝電で、トー・ラム書記長の再選について「党の強化・発展と人民の福利増進のために責任ある努力を傾けてきた総書記同志に対する、全党員とベトナム人民の高い信任の表れだ」と高く評価した。その上で、「第14期ベトナム共産党中央委員会が党大会の決定を貫徹するための闘争を成果裏に導くことを期待する」と述べた。

さらに金正恩氏は、「長い歴史と伝統を有する両党・両国間の友好協力関係が、昨年10月に平壌で達成された首脳会談の合意精神に沿って、あらゆる分野で実質的に拡大・発展していくとの確信を表明する」と強調した。昨年の北朝鮮・ベトナム高官級接触を踏まえ、経済・外交分野で停滞していた協力を再活性化させる意思を示したものとみられる。

北朝鮮とベトナムは1950年に国交を樹立し、昨年は国交樹立75周年を迎えて「友好の年」を宣言した。北朝鮮は近年、ロシアやベトナム、ミャンマーなど旧共産圏諸国との関係強化を相次いで強調しているが、その姿勢とは対照的に、中国に対しては冷淡とも受け取れる対応が目立っている。

象徴的なのが、今月18日に報じられた金正恩氏から習近平国家主席夫妻への新年の年賀状だ。北朝鮮メディアは送付事実自体は伝えたものの、習氏の名前には一切触れず、「中華人民共和国主席と夫人」と国名と職責のみを簡略に記した。ウラジーミル・プーチン・ロシア大統領との書簡のやり取りを迅速かつ大々的に報じてきたのとは、明らかな温度差がある。

(参考記事:【写真】「金正恩が中国首相を公開侮辱」中国人民は怒り心頭

こうした北中関係の異変は、北朝鮮がロシアに兵力を派遣し、北露関係が急速に緊密化して以降、各方面で指摘されてきた。昨年9月には、金正恩氏が中国の抗日戦争勝利80周年記念行事に出席することで関係改善の転機になるとの観測も出ていた。しかし結果的に両国関係は好転せず、むしろ悪化の兆しを強めている。

背景には、中国から得られる実利への不満があるとの見方も根強い。北朝鮮側は戦勝節行事への出席の見返りとして、より大規模な経済支援を期待していたとされるが、実際に受け取った支援は砂糖約1万9000トンにとどまったとの分析がある。中国依存からの脱却を模索し、ロシアや東南アジアの旧社会主義国との関係を誇示する北朝鮮の外交姿勢は、今後も中朝関係の不安定要因となりそうだ。