ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は15日(現地時間)、モスクワのクレムリン宮殿で開かれた駐ロシア大使の信任状捧呈式での演説で、「過去、ロシアと韓国は実務的なアプローチを維持し、貿易やビジネス分野で本当に良い成果を上げてきた」とした上で、「韓国との関係が回復することを期待している」と述べた。
韓国とロシアは、ウクライナ戦争の勃発後に急速に冷え込んだ。韓国が西側の対ロ制裁に加わり、これを受けてロシアが韓国を非友好国に指定したためだ。その後、両国関係はロシアと北朝鮮の接近によって、さらに複雑さを増した。ロシアは2024年6月、北朝鮮と軍事同盟条約に準じる「包括的戦略的パートナーシップ条約」を締結し、北朝鮮はロシアに兵力を派遣するなど協力を強化している。
一方、プーチン大統領が韓国との関係回復に言及したことは、北朝鮮指導部に複雑な波紋を広げている可能性がある。ロシアと北朝鮮が軍事面で急速に接近する一方、北朝鮮が派兵の「対価」を十分に得られていないとの見方が浮上しており、こうした中でロシアと韓国の接近の兆しが伝われば、金正恩総書記の不快感や焦燥感を一層強めかねない。金正恩氏のロシアに対する「愛情」が「片思い」であったことが露呈するような事態となる可能性もあるだろう。
北朝鮮はウクライナ戦争をめぐり、弾薬や兵力をロシアに提供することで協力関係を深化させてきた。2024年6月には、ロシアと「包括的戦略的パートナーシップ条約」を締結し、事実上の軍事同盟関係に踏み込んだと評価されている。軍事技術分野では、ミサイルや衛星、潜水艦関連技術などをめぐる協力が進んでいる可能性が指摘され、北朝鮮側もこれを成果として強調してきた。
しかし、国民生活に直結する見返りについては、期待と現実の乖離が大きいとの観測が強まっている。
(参考記事:「迷惑だ」プーチンからの贈り物に北朝鮮国民ブチ切れ)
北朝鮮社会が最も切実に求めているのは、慢性的な食糧不足の緩和やエネルギー供給の安定だが、衛星画像などで確認されるロシア極東と北朝鮮を結ぶ船舶の動向などを見る限り、大規模な食糧・燃料輸送を示す顕著な動きは確認されていない。制裁下にある北朝鮮にとって、派兵という高い代償に見合う実利が国民に還元されていないとの不満が、内部に蓄積している可能性がある。
こうした状況で、プーチン大統領が韓国との関係回復に言及したことは、北朝鮮にとって看過しがたい出来事といえる。金正恩総書記は、ロシアとの協力深化を自身の外交的・戦略的成果の柱の一つとして位置づけてきた。対米・対韓対立が長期化する中、ロシアとの「血盟的連帯」を誇示することで体制の正当性を内外に示してきた経緯がある。
そのロシアが、制裁に加わった韓国との関係改善に含みを持たせれば、北朝鮮側には不快感や警戒感、さらには嫉妬に近い感情が生じる可能性も否定できない。露朝関係が一方的に北朝鮮の期待通り進展していない中で、ロシアが選択肢を広げる姿勢を見せれば、金正恩体制の「成果演出」に陰りが生じるのは避けられない。
