ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領が電撃的に拘束・移送されたとの情報が伝えられた直後、北朝鮮は金正恩国務委員長の身辺警護体制を準戦時レベルに格上げしたと韓国の独立系メディア「サンドタイムズ(ST)」が報じている。

反米独裁国家の現職指導者を米国が直接狙い、拘束作戦を成功させたとされる事態が、金正恩体制に「実存的恐怖」を与えたとの見方が出ている。

平壌の高位対北消息筋はSTに対し、「マドゥロ拘束のニュースが伝わった1月3日夜、金正恩の『1号命令』が下達され、警護ライン全体に非常事態が宣言された」と語った。党中央委員会護衛処、国務委員会警衛局、護衛司令部、護衛局のいわゆる四大護衛機関は、4日午前0時をもって、別途解除指示が出るまで準戦時の警戒態勢に入ったとされる。

今回の措置は単なる警戒強化ではなく、「外部からの物理的脅威がいつでも現実化し得る」との判断に基づくものだという。消息筋は、米国が本気になれば「斬首作戦」によって体制転換すら可能であることが示されたことで、金正恩が自身の安全に強い不安を抱き、即座に防御態勢の強化を指示したと説明した。

(参考記事:金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない訳

現在、平壌中心部から郊外にかけて、警護部隊には前例のない緊張感が漂っている。1月4日未明に緊急で承認された国務委員会および党書記局の命令により、金正恩が出席する「1号行事」の外郭警備を担う国家保衛省や行事処の人員は、従来の5倍規模に増強された。遠距離狙撃手や機関銃手など重武装兵力が重点配置され、携行弾薬も平時の10倍まで増やすよう指示が出たという。

金正恩とその家族の警護を担当する人員は、錦繡山太陽宮殿の護衛兵を含め、外出・外泊・休暇はもちろん、退勤すら全面禁止され、営内待機状態に置かれている。平城や三石など首都圏外縁部では、護衛局傘下の機械化部隊や歩兵部隊が、外部侵入を想定した高強度の戦術訓練を昼夜を問わず続けているとされる。

現場には「金正恩決死擁護」「白頭血統決死擁護」といったスローガンが掲げられ、わずかなミスも許されない緊迫した空気が支配している。消息筋は「幹部たちでさえ息を潜め、事態の推移を注視している」と伝えた。

STは、今回の措置により警護部隊の権限と存在感がさらに肥大化すると分析している。金正恩を守る部隊はすでに陸・海・空軍力に加え、特殊戦や電子戦部隊まで統合し、独立した軍隊のように運用されている。有事には金正恩を防護しながら核攻撃にまで対応できる態勢を整えているとの情報もあるという。

これは金正恩の生存を最優先課題とし、国家のあらゆる軍事的資源を警護部隊中心に再編する意志の表れとみられる。消息筋は「11日現在も準戦時体制の解除命令は出ておらず、今回の警護態勢は相当期間続く可能性が高い」と指摘した。