北朝鮮の金正恩総書記が、朝鮮労働党の重要会議の場で幹部らを厳しく叱責した。12月9日から10日にかけて開催された労働党第8期第13回党中央委員会全員会議は、2026年に党大会を控える中で開かれた極めて重要な会議であり、その席での最高指導者の激しい批判は、単なる叱責にとどまらない重い意味を持つ。

今回の会議で注目されたのは、“失脚説”が絶えなかった側近中の側近、李日煥(リ・イルファン)宣伝書記の復帰だ。李氏は約11か月ぶりに中央舞台に姿を現したが、韓国の独立系メディア「サンドタイムズ」は、李氏が不正行為を理由に革命化再教育を受けていたと報じている。

実際に公開された写真を見る限り、復帰後の李氏は以前と比べて明らかに容貌が変化しており、一定期間、厳しい環境に置かれていた可能性をうかがわせる。

一方、金正恩氏は会議の「結論」で、「社会主義建設の質的発展のために必ず是正すべき欠点と弊害」が存在すると強調し、「一部の指導幹部および責任幹部の誤った思想観点と、非活動的で無責任な活動態度」を名指しで厳しく批判した。

特に、自らが看板政策として推進してきた「地方発展20×10」政策が期待した成果を上げていない点について、現場幹部の責任を強く追及した形だ。

この叱責と連動するかのように、会議では組織問題、すなわち人事問題が議論され、労働党中央委員1人と候補委員5人、計6人の「召還」が決定された。具体的な氏名は公表されていないが、召還は事実上の解任、あるいは粛清に発展する可能性もある。

処分を受けたとみられる李日煥氏をあえて復帰させる一方で、6人の幹部を切り捨てる――。このアメとムチを巧みに使い分ける手法こそ、金正恩体制の「恐怖政治」の本質を改めて浮き彫りにしている。