■ 多層的「拒否の網」――日本が描く抑止の全体像
これら三段階のミサイル運用を俯瞰すると、日本が構想するのは以下のような“立体的な拒否網”だ。
【進出前】 列島線の入口で艦隊の動きを“遠距離からコントロール”
【戦闘開始後】 揚陸部隊・水上艦隊を列島線内で撃破
【侵攻後】 中国軍の戦力維持を断つための戦略的反撃
つまり日本は、台湾海峡で武力衝突が生じた場合に、中国軍の行動を「接近・投入・継戦」のすべての段階で妨害する能力を整備しつつある。
政府内では、ミサイル体系の強化を「単なる火力増強ではなく、日本の地理的条件を最大限に生かした抑止の仕組み」と位置づける声が強まっている。南西地域を軸としたミサイル配備はすでに進行しており、今後10年で“列島線の防衛力”は質的に大きく変貌すると見られる。
