6日午後、中国海軍の空母「遼寧」から発艦した中国軍機が、沖縄本島南東の公海上で航空自衛隊の戦闘機に対してレーダー照射を行った問題を受け、中国軍の空母展開に対する懸念が広がっている。
その一方、当の中国においては、最新鋭航空母艦「福建」に航空機運用における設計上の「深刻な欠陥」が存在する可能性が浮上している。中国の軍事評論メディア「海事先鋒」が9月15日に報じた内容が波紋を広げており、複数の米軍事専門家も同様の分析を示している。中国の国内メディアがこうした指摘を行うのは異例で、当局の何らかの思惑が働いた可能性もある。
報道によると、欠陥とされる主な点は、艦載機の同時発着艦能力の制限にある。
「福建」は、中国初の電磁式カタパルト(射出機)を備える現代的な大型空母として設計されたが、「海事先鋒」は、飛行甲板上の着艦レーン(進入路)が、複数の発艦用カタパルトの運用エリアと物理的に交差または近接していると指摘。この構造により、航空機が着艦作業を行っている間、他のカタパルトからの発艦作業が同時に実施できなくなる恐れがあるという。
この指摘は、空母の航空作戦における「発着艦サイクル」効率に直接関わる重大な問題であり、実戦能力を大きく左右する。
(参考記事:かつてタイ空軍に「惨敗」した中国空軍…空自との実力差は?)
米ワシントン戦略国際問題研究所(CSIS)の専門家も、衛星画像や公開情報を基にした独自の分析でこの見解を支持。一部の元米海軍関係者は、「福建」の航空機運用効率は、約50年前に設計された米海軍のニミッツ級空母の60%程度に留まる可能性があるとの試算を明らかにしている。
これに対し、中国国防省は本件に関する公式なコメントを避けているものの、国営メディアを通じて「(空母の)海上試験と各種訓練は計画通り順調に進展している」と強調し、外部からの懐疑的な見方を一蹴している。
「福建」は現在も海上公試(トライアル)の段階にあり、この運用上のボトルネックが実際の運用でどのように影響するか、あるいは設計変更が加えられるかは依然として不明である。
