平壌市が保安機関を通じて住民の追放事業に着手したことが分かった。

23日、デイリーNKの平壌消息筋によると、「平壌市は反社会主義行為や反動思想文化排撃法に抵触する行為を行った市民を追放する事業を市安全局が主導して進めている」と述べ、「『人口整理事業』と呼ばれるこの作業は9月末から本格的に始まり、10月末までに大規模な追放を一段落させ、11月末までに残りの対象者の追放を完了する計画だ」と伝えた。

消息筋によれば、追放の対象は過去3年間に反社会主義行為や反動思想文化排撃法違反で労働教養刑や労働鍛錬刑を受けた住民のうち、思想的傾向が「良くない」と判断された人々だという。

市安全局はこうした住民を「追放者名簿」に載せ、平壌市から強制的に追い出して地方へ移住させる方式で事業を進めている。

この消息筋は「今回の事業は革命の首都である平壌を政治的により安定させ、同時に人口過密を防ぐ狙いがある」と述べ、「これまでの追放措置は基本的に本人に限定されていたが、今回は家族まで一緒に追放するという断固とした措置が取られている」と明らかにした。

実際、普通江区域・大城区域・中区域・平川区域など平壌市中心部で追放事例が相次いでおり、市民の間で衝撃と恐怖が広がっているという。

「平壌市民たちは、2か月ほどの間に市全体が揺らぐほどの強制移動が起きると見ており、夜ごとどの家が次に呼び出されるのか分からず、不安に震えている。本人だけでなく家族全員が追い出されるという恐怖が最も広がっている」と消息筋は語った。

特に、かつて教養所や鍛錬隊で処罰を受けたことのある市民は「静かに暮らしていたのに、些細な口実で家族ごと追い出されると聞いてどうしていいか分からない」と怯えながら話しているという。

また、市民の間では「大城区域の新しい『セビョル(新星)通り』に地方の人々を入れるため、既存の住民を追い出しているのではないか」という疑念も強く出ている。

金正恩国務委員長は8月末、ロシア派兵戦死者の遺族と面会した際、「彼らのために平壌・大城区域に新しい通りを造成し、『セビョル通り』と名づける」と明らかにしていた。

平壌市民たちは、こうした地方出身の遺族を平壌に住まわせるために追放事業が行われていると考えているようだ。

一方、「追放者名簿」に載った人々は「追い出された民(チョッケミン)」と呼ばれ、地方の見知らぬ土地へ強制移住させられている。たとえば、大城区域から追放されたある家族は黄海道の農村に移されたが、与えられた住居はほとんど廃屋同然で、冬を越すためにあちこちで助けを請わなければならない状況に陥っているという。

消息筋は「追放された人々も衝撃だろうが、平壌に残っている人々の方がさらに大きな衝撃を受けている」と述べ、「市民たちは『平壌で暮らすことは祝福ではなく呪いだ』『家族全員を追い出すような法律がどこにあるのか』と嘆いており、その声が街の至るところで広がっている」と伝えた。