韓国の情報機関・国家情報院によると、北朝鮮の金正恩総書記は2013年、「サイバー戦は核・ミサイルとともにわが人民軍の無慈悲な打撃能力を担保する万能の宝剣である」と述べた。
北朝鮮が「偵察総局」を「偵察情報総局」に改編し、衛星・サイバー・信号・人的情報を一体化した新たな情報戦体制を本格稼働させたことが明らかになった。
北朝鮮内部消息筋は17日、デイリーNKに「偵察情報総局はパク・チョンチョン同志(党中央軍事委員会副委員長)が9月中旬談話で初公開したが、実際には今年4月から内部検討が始まり6月末最終確定された」とし「この過程で既存偵察総局が引き受けた」衛星・サイバー・信号・人的情報分析機能が一体となった形で再編された」と話した。
従来の偵察総局は軍事浸透や工作を主軸としてきたが、新たな総局は衛星監視やデータ分析を組み合わせた「軍事情報本部型」組織に変貌した。金正恩総書記が重視する“情報戦の時代”に対応した司令塔であり、最高司令官に直接報告できる権限も持つとされる。
背景には2023年11月の軍事偵察衛星「万里鏡1号」発射成功がある。北朝鮮はこれを活用し、韓国や米日などの軍事施設や訓練状況を定期的に監視しているという。さらに、信号情報(SIGINT)・人的情報(HUMINT)・サイバー情報を結合した多層的な分析システムを構築し、誤警報を減らして精度を高めている。
現在は「24戦略勤務」と呼ばれる週次会議で統合報告が行われ、党中央軍事委員会や最高司令部に直接提出されている。朴正天副委員長が「偵察情報総局から報告を受けた」と言及したことからも、その中枢性が裏付けられる。
同総局は軍事のみならず政治・経済・外交分野の情報も扱い、サイバー活動や制裁回避ネットワークを統括する国家級情報機関へと拡大した。ロシアとは衛星・地上局分野での技術協力、中国とは民間取引を装った電子部品・データ技術の導入を進めるなど、国際的な連携も強化している。
偵察情報総局は今や、北朝鮮の情報戦・経済戦・心理戦を束ねる「三位一体の司令塔」として、金正恩体制の新たな戦略中枢に浮上している。
