自民党総裁選で高市早苗氏が選出され、週が明けた6日の月曜日、北朝鮮は日本の改憲勢力をけん制するメッセージをぶつけてきた。

国営の朝鮮中央通信はこの日、「改憲『突撃隊』の狂気は日本の前途をいっそう危うくするだけだ」と題した論評を発表した。この論評は、高市新総裁を名指ししたリ、自民党の総裁選に触れたものではない。むしろ日本維新の会や、日本保守党など保守系野党の動きに注目している。

ただ、歴史的に北朝鮮は、執権与党以外は相手にしてこなかった国だ。かつて日本社会党と蜜月だった時代もあったが、結局はその関係も、自民党に接近するために利用した。そういった意味で、今回のメッセージも、「保守系野党に取り囲まれた自民党」にぶつけたものだと見ることができる。

同通信はまず、「自民党が主導する憲法改正の策動に、保守群小政党までもが一斉に呼応しているのは、海外侵略という共通の目標の下に日本の軍国主義勢力が総結集していることを示す重大な動きだ」と述べ、日本の政治情勢を「極右分子が跳梁するファシズムの舞台」と表現した。

さらに、「いまの日本政治は、戦争国家の完成という目的を前にしては与野党の区別すらなく、同じ声を上げている」と断じ、「自民党を中心とする軍国主義政党は、衰退しつつある自民党に力を貸し、最短期間で戦争国家を完成させようという邪悪な下心のもと、憲法改正に命運をかけている」と批判した。

(参考記事:「自衛隊の攻撃能力は世界一流」と評価する金正恩氏の真意

また、「日本の政治風土と体質的本性は、かつての侵略時代と何ら変わっていない」と強調し、「他民族への憎悪と征服欲に取りつかれた狂信的な排外主義が日本の政治を支配している」と非難した。

その上で、「日本はかつての侵略犯罪の歴史を清算するどころか、美化と正当化に血眼になっている」と指摘。「靖国神社参拝や歴史教科書の改ざん、軍需産業の拡大など、一連の行動は再軍備の布石であり、東アジアの平和と安定に対する重大な挑発だ」と強調した。

最後に、「日本が軍事大国化の道を突き進めば、アジアの国々はそれを決して座視しない」と警告し、「自民党をはじめとする改憲勢力の狂気じみた暴走は、結局は自らの破滅を招くだけだ」と強調した。

内容的には、北朝鮮が何十年も前から言ってきたのと同じもので、まったく新味がない。ただ、昔とは背景が異なる。北朝鮮は今や、ロシアに加担してウクライナ侵略の当事国となっている。核武装を進め、その使用をチラつかせて日韓を威嚇している。北朝鮮は、真に危険な国となった。以前にも増して、彼らの言動には注意深くなる必要があると筆者は考える。