北朝鮮とロシアが「包括的戦略パートナーシップに関する条約」締結から1周年に際して29日に東平壌大劇場で開かれた北朝鮮・ロシア芸術家の合同公演の中で、金正恩総書記が棺に国旗をかける場面と見られる写真を背景に映し出していたことが、30日にその様子を報じた朝鮮中央テレビの映像からわかった。
写真には、金正恩総書記が棺の上に国旗をかける様子や、悲痛な表情で手を棺の上に置く姿などが収められている。
これらの写真は、北朝鮮軍がロシア兵と一緒に写っている写真や、北朝鮮軍がクルスク戦場で書いたとみられる血の付いた手帳の写真の直後に登場したことから、ロシア・クルスクに派兵され、ウクライナ軍との戦闘で犠牲になった戦死者の遺体の帰還場面であると見られる。
北朝鮮当局は、昨年10月に派兵が明らかになってからしばらく、その事実をひた隠しにしていた。特に、実戦に不慣れな兵士たちから死傷者が相次ぐと、国内での噂の拡散を力ずくで抑え込み、遺族に対しては懐柔をはかりかん口令を強いていた。
(参考記事:「捕虜になった北朝鮮兵」家族はこうして殺される)
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面しかし、クルスクの戦線でロシア軍が実質的な勝利を収めるや、派兵と参戦の事実を内外に公表。それ以降は派兵部隊の将兵を「英雄」として称えながら、国威発揚に利用している。
戦死者の帰還場面を公演で公開し、さらにその映像を国営放送が流した事実からは、戦死者「英雄化」宣伝に北朝鮮当局が相当な手応えを感じている様子がうかがえる。