北朝鮮当局は戦闘動員態勢を発令するなど戦争ムード作りに余念がないが、住民はむしろ海外からの情報に興味を持つようになったと内部情報筋が伝えた。住民たちは、当局の言う「緊迫した国際情勢」への疑問点を韓国のラジオを聞いて解消しているという。

咸鏡南道(ハムギョンナムド)咸興(ハムン)のデイリーNK内部情報筋によると、「当局はここ数ヶ月間戦争ムードを高め実践対応態勢を強調してきたが、最近は全く効果が発揮されていない。住民は今となっては当局の宣伝は全く信じず、むしろラジオから入ってくる(外部)情報に関心を見せている」と伝えた。彼はさらに現地住民の様子を次のように紹介した。

「党がいくら情勢が深刻云々しようが、住民は当局の宣伝よりもラジオを隠れて聞き、その情報により多くの関心を寄せている。当局の情勢講演の最中にも参加者らは『最近他の所はどんな状況か』とひそひそ話しをする人もいる。『他の所』とは韓国を意味し、『他の所は静かだというのに我々ばかり苦しめるのか』との反応を見せる人もいる。大多数の住民は外部情報に興味があるため、最新のニュースを知っている人は大人気である」

最近は市場を通してラジオが住民に急速に拡散しており、国家安全保衛部は非常事態となっている。乾電池式で小型なため布団の中でイヤホンでラジオ聴取すれば摘発は難しい。保衛部員も手に負えずにいるため、韓国のニュースなど外部情報が住民の間に急速に伝わっている。市場で売られている中国製のラジオは、カセットプレイヤー機能とAMラジオに対応している。

住民たちは、情報の信憑性確認のために「誰が言っていたのか、どこから聞いた情報か」と聞くと「モルラ」(몰라)と答える。これは「知らない」という意味の朝鮮語と「隠れて聞いたラジオ」(몰래라지오)の略語。最近まではこの一言でお互いに確認をとっていたが、今はラジオを通した情報入手が一般的になり、このような問答もしなくなってきた。

内部情報筋は最後に「北朝鮮が先月21日に発令した全国単位の空襲警報の時や、その前の住民疎開訓練の時も工場労働者は仕方なく避難所に移動した。一方、情勢を把握している一部の住民は家の中で静かに待機していた。最近は当局の命令にいちいち答えていると定見のない奴と非難されることもある」と話した。

最近、北朝鮮では語学用ラジオの搬入が大幅に増加した。子ども達の語学学習に対する関心が高まったことが背景にある。北朝鮮の税関当局も語学用であるため特に問題視していない。一部の密輸業者は大量に中国製小型ラジオを仕入れている。

ある北朝鮮向けラジオ放送専門家は「カセットプレイヤーとAM受信機能がある中国製語学用ラジオが北朝鮮に搬入されていると聞いた。AM(中波)聴取機能があるラジオで韓国のKBSの「韓民族放送」「極東放送」「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」の 放送聴取が可能になった」と話した。

    関連記事