北朝鮮の富裕層は、ヤミ両替やタンス預金によって資産を隠し持ち、庶民と同じ暮らしぶりを装う傾向がある。これは、当局に資産の大きさを知られればゆすり取られる、あるいは濡れ衣を着せられ、全財産を没収されるなどといったリスクを避けるためだ。
当局は、金持ちの資産を把握しようと様々な手法を使うが、どれもうまくいかない。そこで、強権的な方法を動員したというわけだ。
(参考記事:何度やってもうまくいかない北朝鮮の「強制預金」)格差の深刻化が住民の不満につながるのは、何も北朝鮮に限った話ではない。だが、住民生活の底上げを図るのではなく、むしろ、いい暮らしをしている人の生活水準を引き下げようとするような対処法では、不満の根本的な解決にはならないだろう。
また、恫喝や恐喝まがいの手法で住民を追い詰める安全員、保衛員と長年渡り合ってきた北朝鮮の人々は、こうした当局の監視や取り締まりをかいくぐる術に長けており、対応には慣れている。このような策も、住民側の適応や抜け道によって形骸化していく可能性が高く、持続的な効果を上げることは難しいだろう。
