北朝鮮当局は、朝鮮労働党、政府、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の高位幹部の汚職に対する大々的な取り締まりを行っているが、その対象を妻にまで広げたことがわかったと、韓国のサンドタイムズが報じた。
平壌の複数の情報筋によると、国家保衛省(秘密警察)は、朝鮮労働党組織指導部、宣伝扇動部、内閣幹部の妻名義の携帯電話番号のリストを入手し、通話やネット検索の履歴、メッセージなどの分析を始めた。
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これは、金正恩総書記の指示に基づくものだという。金正恩氏は幹部とその家族について、「党の権力を私物化し、根深い特権意識と不正腐敗を繰り返している」として、強力な検閲(監査)を指示したとサンドタイムズは伝えている。
情報筋は「国家保衛省が中央党(朝鮮労働党中央委員会)規律調査部と共に、金正恩氏の特別方針に基づき、幹部の妻たちの携帯電話の通信内容を追跡しており、すでに1次対象20人に対する調査はほぼ終わり、残りの人物とその家族に対する検閲も本格化している」とサンドタイムズに述べている。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面主に調査対象となっているのは、以下の2つだ。
△幹部の妻たちが夫の権力を利用し、米ドルでワイロを受け取る受託収賄
△国家機密を外国に流出させる行為
このうち、受託収賄についてはこれまでも繰り返し調査が行われてきたが、情報流出の取締りは北朝鮮当局がこのところ最も力を入れているものだ。
当局は、過去の同様の事例を参考にして調査している。現在までに、夫のポストを利用して幹部人事に介入したり、大学入試、住宅の割り当て、食糧配給などを解決したりする見返りに現金(ワイロ)を授受した事案が浮上しているとのことだ。
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情報筋は語る。
「金正恩氏は幹部だけでなく、その妻を通じて形成された非公式な権力ネットワーク、いわゆる『妻ライン』を狙っている」
(参考記事:「泣き叫ぶ妻子に村中が…」北朝鮮で最も”残酷な夜”)妻たちは夫の肩書を見せつけて「取り引き」を行い、党・政・軍に絶大な影響力を行使してきたと見られる。大規模な不正が見つかれば、夫婦だけでなく一族郎党が粛清されることもあり得る。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面幹部の間では検閲の噂が広がり、「次は自分の番かもしれない」と緊張感が漂っているという。