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北朝鮮は、ウクライナ侵攻を続けるロシアに1万1000人の兵力を派遣した。また、今年1月から2月の間に3000人を追加派兵したと、韓国軍の合同参謀本部が明らかにした。

北朝鮮は、死傷者が続出したことを未だに明らかにしていないが、世界中のメディアが一斉に報じる中、いつまでも隠し通せるものではない。戦死者の遺族や海外からの情報に接した人の口から、最前線の惨状が伝えられ、口コミネットワークで各地に広がった。

手塩にかけて育てた息子が、兵役に取られ最前線に送られるのではないか。そんな心配を抱いた親たちは、息子がより安全な部隊に配属されるか、ハナから兵役を免除してもらえるように、必死になっている。

(参考記事:息子の「ロシア派兵」を阻止すべく半狂乱で駆けずり回る北朝鮮の親たち

当局は噂の遮断に必死になり、派兵への疑問を呈した者を摘発し、重罰に処している。朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の偵察総局の軍官(将校)も例外ではない。韓国のサンドタイムズが報じた。

(参考記事:「捕虜になった北朝鮮兵」家族はこうして殺される

平壌の情報筋によると、事件が起きたのは昨年下半期のことだ。偵察総局の軍官はロシアに向かうように命令を受けた。しかし、その命令は行き先が明確に示されておらず、単にロシアで訓練を受けよというもので、正式に明文化されたものでもなかった。それを見た一部の軍官は、こんな疑問を抱いた。

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「なぜ国内でなくロシアで訓練をするのか」

先に派兵された1万1000人は、ロシア国内で訓練を受けた上で戦場に送り込まれた。そのときの命令も今回と同じ、ロシアで訓練を受けよというものだった。軍官らはこんな心配を口にした。

「正確な指示の内容もわからず海外に行くことになり不安だ」
「訓練を口実に派兵されるのではないか」

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軍の内部では、はっきりとしていない命令に対する自然な反応だとの声が上がったが、当局は「(朝鮮労働)党の指示に背いた反党行為」だとして、偵察総局の保衛局軍官20人を逮捕させ、平壌市郊外の兄弟山(ヒョンジェサン)区域にある営巣(拘置所)に、所属する師団ごとに別々にして勾留した。そして今月3日、20人は管理所(政治犯収容所)送りとなった。政治犯には連座制が適用されるため、家族も連れ去られた。

あらゆる人権侵害が横行する管理所で生き延びるのは難しく、そもそも出所も想定されていない。つまりは「遅効性の処刑」とも言える重罰なのだ。

(参考記事:若い女性を「ニオイ拷問」で死なせる北朝鮮刑務所の実態

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事件があってから、朝鮮人民軍の内部では「表情の管理が命」という言葉が広がっている。不明確な指示であっても、顔を曇らせるのはもちろん、「一切の反応してはならない」(情報筋)という空気となっている。また、軍人の家族の間でも「口を開いた瞬間に家族まで連れ去られる」という恐怖が広がっている。

軍当局は、今回の事件を「戦士としての姿勢が不十分だ」と断罪し、「党の命令に軍人は『はい、わかりました』としか答える権利がない」という内容の精神教育を行っている。