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北朝鮮の協同農場の幹部が、国家財産横領などの容疑で公開処刑されたと、デイリーNKの内部情報筋が伝えた。

処刑されたのは、平安南道(ピョンアンナムド)文徳(ムンドク)郡の中心部にある協同農場の管理委員長と初級党書記で、今月5日に公設運動場で、1万人余りの住民が見守る中で、公開処刑された。また、家族は全員管理所(政治犯収容所)送りとなった。

「道党(朝鮮労働党平安南道委員会)は、全国知識人大会(11月30日〜12月2日)に平安南道から参加した人々が、平壌市の参観日程を終えた後、この日公設運動場に集結させ、今回の銃殺を見守らせた」(情報筋)

この日処刑された邑協同農場管理委員長と初級党書記は、金日成主席と金正日総書記に会った経験を持つ「謁見者」だった。特に管理委員長は金正日氏から労力英雄の称号までもらうほど、政府の信任を得てきた人物だったが、軍糧米(軍向けの食糧)と援護米(軍の支援にあてると住民から集めた食糧)数十トンを、農場のトラックに積んで密かに運び出し、食糧事情の悪い他都市の市場で売り払った。

また、農場の世帯数を虚偽記載する手法で、数十頭の支援豚も横領していたことも明らかになった。この支援豚とは、食糧難に直面した朝鮮人民軍に供給するために、農場の各戸に飼育が強いられているもので、毎年70キロ以上の豚の供出が義務付けられている。

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二人は、国家財産を売り払って儲けたカネで、家を新築した。裁判では「玄関が7つもあり、すべてに100ドルもする中国製の鉄製の扉を設置するほどの豪邸だった」ことが明らかにされた。管理委員長は、農繁期にもかかわらず、協同農場の農民を動員し、工事に当たらせたという。

また、若い女性数人に長期患者という診断を受けさせ、農場の作業を免除し、自分の家で下働きまでさせたという。こうした違法行為が上部に発覚したということだ。初級党書記に対する家宅捜索の過程で、3キロの金塊とドルの包みも発見された。

情報筋は「最近、幹部が銃殺されたり監獄送りになったりすることが本当に増えた」「管理委員長ですらそんなことをしているのだから、もっと上にいる人たちはどれだけ着服しているかわからない」と嘆いた。

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文徳は、十二三千里平野と呼ばれる北朝鮮の穀倉地帯にある郡で、金日成氏も食糧増産の奨励のために何度も訪れている。

ちなみに、1997年に徐寛熙(ソ・グァニ)農業担当秘書が食糧難の責任をなすりつけられ処刑されたときに、粛川(スクチョン)郡の協同農場管理委員長も処刑されたが、その罪状は軍糧米の横領だった。

(参考記事:血の粛清「深化組事件」の真実を語る

北朝鮮は今年8月、咸鏡北道(ハムギョンブクト)延社(ヨンサ)郡の外貨稼ぎ機関の責任者と、平安南道の順川(スンチョン)ビナロン連合企業所の関係者などを相次いで処刑するなど、下級幹部の横領行為に対する取り締まりを強化している。

(参考記事:北朝鮮の外貨稼ぎ関係者、違法行為で相次いで処刑