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朝鮮半島に、春から初夏にかけて食糧不足が深刻化する「ポリッコゲ」(麦の峠)の季節が到来した。前年の収穫の蓄えが底をつき、初夏に麦の収穫が始まるまでの間、食べるものがなく、人々は飢えに苦しむ。韓国ではもはや死語だが、北朝鮮では現役の言葉だ。

食べものの蓄えも、それを買う現金もない「絶糧世帯」が急増していると、平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

朔州(サクチュ)郡など、道内の農村地域では、食糧不足が深刻化し、飢餓に苦しむ世帯が日に日に増えている。郡内の某人民班(町内会)では、23世帯のうち12世帯以上が食糧が完全に底をついたか、ほとんどない状態であることが調査の結果、明らかになった。

このような絶糧世帯がどれほど多く存在するかは不明だが、各地で増えているもようだ。

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ポリッコゲをビジネスチャンスと捉えた都会在住のトンジュ(金主、ニューリッチ)は、農村にやってきてコメやトウモロコシを貸し与える。春に借りた穀物は、秋の収穫時に2〜3倍にして返済しなければならないという、驚きの高利率だ。結局、それも返せず、借金地獄に陥る人も少なくない。

「農民は一年間汗水たらして農作業をしても、国に納めるお米と軍用米などを納めたら、手元にはほとんど残らず、2〜3カ月持ち超え耐えるのがやっと。特に、家族が多い家庭ほど、食糧がなくなるスピードが速い」(北朝鮮)

情報筋は、国や軍が徴発する食糧を減らさない限りは、食糧不足が解消しないと述べた。

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「国が農村住民の生活苦を無視して強制的にコメを収奪して行くため、食糧不足問題は深刻化するばかりだ」(情報筋)

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だが、問題はそう単純ではない。

食糧不足の第一の原因は、生産性の低さにある。北朝鮮では、農業が完全に集団化されているが、働いてもサボっても収入は変わらないため、農民は熱心に働こうとしない。各国で集団農業が廃止されたのは、このような理由からだ。

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北朝鮮は「個人圃田耕作担当制」という、働いた分だけ収入が増えるというシステムを一部で導入したが、理由は不明ながら全国的な実施には至っていない。

(参考記事:北朝鮮、農民のインセンティブ制度を拡充も成功するか未知数

また、故金日成主席が考えた素人農法のチュチェ(主体)農法を未だに捨てられずにいること、充分な資材が供給されないこと、機械化が遅れていることなど、理由を挙げ出せばきりがないほどだ。