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晩婚化と非婚化、少子化が、北朝鮮の体制を揺るがすほど深刻なものであることには疑いの余地はない。

国連の統計によると、北朝鮮の総人口は約2616万人となっているが、水増し疑惑があり、実際には2000万人を少し上回る程度との見方もある。深刻な労働力不足となっており、都市部の若者を誰も行きたがらない「困難で骨の折れる部門」に送り込む嘆願事業や、上述の通り避妊や妊娠中絶の禁止など、様々な対策を取っている。

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しかし、一連の流れの原因は、経済的な混乱や福祉の不在にある。

男性はまともに給料ももらえない国営企業への就職を強いられる。その義務のない女性が、市場で商売して生計を立てている。結婚した場合、一家の負担は女性にのしかかるのだ。

出産すると育児のせいで商売をする時間がなくなり、一家が路頭に迷うことになる。経済的に多少余裕があっても、子どもの学費や医療費などは莫大で、苦しい生活を強いられる。さらには離婚に非常に手間がかかることから、そもそも結婚を選択しない女性が増えているのだ。

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かつての北朝鮮では託児施設が充実しており、「ごはん工場」などの家事労働の社会化の先進的な試みも存在した。1990年代後半の経済危機「苦難の行軍」を前後して、それらはすべてなくなり、すべては個人の責任に帰するようになった。その割には、個人が「結婚、出産をしない」という選択をすることを当局は許さない。

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経済的な困難のため、捨て子の急増という現象が起きたことがある。それもこれも、もとをただせば「結婚、出産して当たり前」という、古臭い考え方の押し付けが根底にある。

世界的に見ても、このような強硬策が功を奏した事例は見当たらない。金正恩総書記の取り組むべきは、強制的な結婚、出産ではなく、安心して結婚、育児ができるサポート体制の構築だろう。