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「全ての母親が子供を多く産んで育てるのがすなわち、愛国であることを明白に認識して積極的に立ち上がる時、われわれが目標とする社会主義強国建設偉業はそれだけ早められるであろう」

北朝鮮の金正恩総書記は、先月開かれた全国母親大会での演説で、「産めよ育てよ国のため」と、出産・多産を奨励した。

同時にこんなことも語っている。

「全てが不足し、困難な歳月の中で多くの子供を産み育て、夫と舅や姑の面倒を見ながら仕事の善し悪しをいとわないその苦労と功績だけによっても、母親たちは当然、時代の称揚を受けなければなりません」

出産と育児、家事、介護など家事労働を女性にだけ押し付ける、極めて前時代的なジェンダー観に基づいた発言だ。女性の家事労働からの解放を目指していたかつての北朝鮮とは、様変わりしている。

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このように母親が称賛されている一方で、実質的な育児支援策は極めて乏しく、産んでも育てられない女性たちがいる。

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によると、40代女性のキムさんは、昨年の大晦日に病院で出産したものの、すぐに赤ん坊を養子に出した。

三水(サムス)郡で農業に携わるキムさんは、妊娠を知った去年、到底育てる余裕がないと中絶も考えたが、その余裕もなかった。なお、妊娠中絶は違法となっているが、ヤミで行われることが多い。

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(参考記事:響き渡った女子中学生の悲鳴…北朝鮮「闇病院」での出来事

そこで、遠い親戚に「子どもを欲しがっている人がいたら紹介してほしい」と頼んだ。そして昨年11月、結婚後5年経っても子どもができない夫婦を紹介され、出産翌日に赤ん坊を引き渡すことで合意した。そして、赤ん坊は引き取られていった。

それを知った近隣住民はむしろ幸いだとの反応を示している。

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「出産するのに一銭の現金も、1グラムのコメも病院に持ってこれないのに、どうやって子どもを育てるのか。育てられないのなら、裕福な家に養子に出す方がいい」

それもそのはず。北朝鮮では「産んでも育てられない」との理由で、捨てられる子どもが少なくないからだ。孤児院に入ると、成長してから都合のいい「使い捨て労働者」として酷使される。それならば、裕福な家に養子に出すのがマシということだ。

(参考記事:深刻な食糧難で「捨て子」が増加する北朝鮮の窮状

また、北朝鮮で医療は無償ということになっているが、それは建前に過ぎず、産婦人科に入院する女性は、燃料の薪、自分の食事などすべてを用意しなければならない。それすら用意できない女性は、育児ができる経済的な余裕が全くないということだ。

(参考記事:「医療は無償」という宣伝を信じ切っていた北朝鮮夫婦を襲った悲劇

そんな状況なのに「産めよ増やせよ」と掛け声ばかりの国に対して、情報筋は「ただ子供を産めと出産を奨励するばかりだ。これでは国民に鼻で笑われるだけだ」と指摘した。

こんなことをしている限り、減少局面に入った人口が、再び増えることなどないだろう。