経済難、食糧難に苦しむ北朝鮮が、ロシアとの貿易を拡大し、石油、食糧、肥料の調達先をロシアに置き換えつつあることがわかった。
デイリーNKの北朝鮮内部情報筋によると、朝鮮労働党経済部が今月8日に批准した閣議指示が、2月の追加行政指示文として、内閣対外経済省と陸海運省、各道の貿易機関に下された。
これは、2月の人民(民生)経済基本計画とは別に、従来なかった事業を緊急に行う必要性に応じて、閣議が追加指示として下したものだ。
今回の措置では、燃油、食糧、肥料などの国家必須物資の調達先をロシア中心に転換することに焦点が置かれた。内閣は、中朝貿易が国際社会の制裁とそれに伴う取り締まりで不安定になった一方、ロシアとの取り引きはより信頼できると評価しているとのことだ。
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人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面だからといって、中国を通じた鉱物の輸出、食糧や肥料の調達を取りやめるわけではない。今年上半期に限ってロシアからの取り寄せを一時的に増やすということだ。あくまでも、必要な物資をより多く確保するための一時的な措置だ。
今回の件は、米国のトランプ政権が、北朝鮮とロシアとの関係の緊密化への牽制に乗り出す前に、先んじてロシアとの貿易ルートを拡大し、国際社会の制裁圧力に対応しようとする戦略的動きと見られる。
言い換えると、ロシアから協力を得て、迂回路を構築して制裁を無効化し、必要な物資を安定的に確保しようとする意図が反映されたものと見られる。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面具体的な措置として、内閣は対外経済部を通じて、ロシアとの国境に近い羅先(ラソン)の既存の貿易拠点と代表部をロシア国内に移転させ、ロシア極東との資源の取り引きを3倍に増やし、規模の大きい制約を成立させるための実務チームを今月中にロシアに派遣せよと指示したと伝えられている。
情報筋によると、内閣は2月から6月までの間に、ロシアから約120万バレル(約16万トン)の原油を輸入する計画で、当該期間に遅滞なき準備を指示した。指示が実行されれば、国連安全保障理事会の対北朝鮮決議2397号で定めた、北朝鮮の年間精製油輸入限度量の50万トンを超え、制裁違反となる。
内閣はまた、陸海運省に羅津(ラジン)港、清津(チョンジン)港へのロシアの貨物船の受け入れ拡大と、港湾の管理、整備、物資の円滑な輸入を指示した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面内閣は、2月に小麦粉3000トンと食料品を、3月に沿海州から肥料5000トンを輸入する計画で、関連機関に徹底した準備を行うように指示した。
ただ、これらは国家機関に優先的に配分される可能性が高く、一般国民の生活改善にはさほど資するものではないだろうと、情報筋は見ている。
(参考記事:「ロシア派兵も無駄だった」餓死者が出始めた北朝鮮の食糧難)これについて、慶南大学極東問題研究所の林乙出(イム・ウルチュル)教授はデイリーNKの取材に、「北朝鮮とロシアの接近は、包括的パートナー協定で予告された通り」のものであり、「北朝鮮がロシアとの関係において、対北朝鮮制裁を変数として考慮しないだろう」と述べた。
また、イム教授は「北朝鮮が、今年の朝鮮労働党創建80周年と来年初頭の第9回党大会の準備過程で、できるだけ多くの資源確保が重要と判断しているのだろう」とし、「北朝鮮は今回の大規模な輸入拡大を通じて、敵対国である韓国を物理的に切り捨て、ロシアとの関係に焦点を絞るための有利な環境を作り出すことに集中する機会としても活用するだろう」と述べた。