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北朝鮮は今月3日から6日に、平壌で朝鮮少年団(旧ソ連のピオネール<共産主義少年団>に相当する組織)創立66周年行事を開催した。ところが、代表者を選抜する過程でワイロが飛び交っていたことが確認された。

(参考記事:金正恩体制アピール…少年団2万人の記念行事

各地域から行事に参加する子どもがワイロによって不正に選ばれたとの疑惑が持ち上がり、朝鮮労働党中央委員会(中央党)は検閲団(査察団)を各地方に派遣、事実関係を調査しているという。状況次第では金正恩政権発足後、最大規模の幹部粛清が起こる可能性まで予想される。

新義州(シニジュ)のデイリーNK内部情報筋は、平壌での行事に参加する少年団代表の選抜過程で、幹部らが巨額のワイロを受け取ったとの疑惑が提起され、中央党検閲グループが先週から各地方に出向き調査を行っていると伝えた。

この検閲団は金日成社会主義青年同盟(青年同盟)の核心幹部を中心に結成されたもの。青年同盟は北朝鮮労働党の最も重要な外郭青年組織で、少年団を直接指導・管理する。

情報筋は「今回の検閲は幹部にワイロを渡したにもかかわらず、『少年団代表者』に選抜されなかった親たちが中央党に訴えを起こしたことに始まる。中央党から参加者にアコーディオンやノートパソコンが贈られるとの情報が広まると、落選した子どもの親たちは怒りを我慢できず行動を起こした」と付け加えた。

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少年団代表者の選抜過程が父兄と党幹部、担当医師との間のワイロにより成り立っていたことは、デイリーNKでも既報の通りだ。子どもが少年団代表者として選ばれた父兄は、必要な消耗品準備と小遣いなどで、少なくとも400〜500ドルほどを使ったことが確認されている。

(参考記事:北朝鮮、金正恩氏への病気感染を懸念し少年団大会参加者2万人を検査

北朝鮮は5月末以降、各地方で学習と生活面で模範的な児童、生徒2万人あまりを「少年団代表者」として選抜、特別列車と飛行機まで動員し平壌に招待した。北朝鮮メディアは「金正恩同志が親切にも全国の少年団代表を平壌にお呼びになった」として、金正恩氏の格別な配慮で少年団代表が平壌に到着したと報じた。

金正恩氏は最終日の行事である、6日の少年団全国連合団体大会に姿を現し、二度目となる公開演説のほか、記念撮影をするなど少年団を積極的に気遣う姿を見せた。

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「子どもは国の王」という教示を残すなど少年団への格別な愛情を誇示してきた故金日成主席のイメージを借用し、就任から間もない金正恩氏がイメージ作りに乗り出したのではとの分析が有力だった。

5日の青年同盟と少年団の連合声明でも、「全国の子どもたちを慈愛に満ちた胸に抱き、あらゆる愛情を施してくださった首領様と、偉大なる将軍様の崇高な後代観、未来観をそのまま受け継がれた敬愛なる金正恩同志の篤い恩情が生み出したまた1つの伝説」との主張が登場した。

一部では執権序盤の金正恩政権が今回の少年団行事に多大な労力を費やした分、収賄で仕組まれた今回の事件をモデルケースに、責任者を厳罰するのではとの推測がなされている。過去、グループ幹部らがワイロを受け取り有耶無耶に事態を収拾することがあったが、今回は通用しないと指摘される。

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情報筋は「少年団代表者選抜で不正を働いた幹部らは『1号行事』、それも最高指導者が自ら召集した行事の面目を潰したことになる。金正恩同志が少年団代表者を招待する過程で、中間で幹部らが名簿に手を加えたとなれば大変なこと」と話した。

さらに「新聞や放送では労働者、農民など平凡な国民の子弟が代表者に選抜されたと伝えられたが、『実際には最高で5000ドルもの大金が飛び交った』との噂が庶民の間で広まった。百姓たちは『今となっては1号行事までも金次第』と愚痴っている」と付け加えた。

また、金正恩氏が政権就任初期の国政運営主導権を拡大するため、今回の事件を中間幹部らに対する「引き締め」道具として活用する可能性も予想される。情報筋は「金正恩同志はまだ若いため、幹部らを黙認することはないだろう。今回捕まったら徹底的に処罰されるとの噂が幹部らの間で広がっている」と強調した。

党の検閲団が早々と立ち上げられた点からも、平壌の指導部が体感する「深刻性」のレベルが反映されている。

情報筋の説明では、6日に平壌での行事が閉幕し、7日には少年団代表は帰宅した。その後、中央党への訴えが全国的に受け付けられ、わずか1週間から10日の間に検閲団が立ち上げられ、派遣されるなど、他の事件とは異なり今回は迅速で攻勢的に事態が展開している。