鴨緑江を挟んで北朝鮮と向かい合う中国・遼寧省の丹東は、内外の観光客相手の北朝鮮レストランが複数存在する。かつては、北朝鮮レストランの隣が北朝鮮レストランという密集度だった。美人ウェイトレスたちの歌や踊りも好評で、客足も上々だった。
しかし、北朝鮮との合弁企業の設立・増資を禁じ、既存のものの閉鎖を義務付けた国連安全保障理事会の制裁決議2371号が2017年に採択され、コロナ禍で観光客がいなくなったことも重なり、レストランのほとんどが廃業に追い込まれた。
そのいくつかはコロナ明け後に復活したが、客からのチップの獲得に必死になっている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。
レストランは今年4月、女性従業員に対して「客からもらったチップを一銭たりとも使うな」と命じ、チップを全額没収する措置を取るようになった。
(参考記事:すべてを奪われる「美貌のウェイトレス」…北朝鮮レストランの舞台裏)ところが、それを提出せずに懐に収めたとして、思想闘争会議――いわゆる吊し上げが行われたと、現地の情報筋が、レストランの厨房で働く中国朝鮮族のシェフから聞いた話として伝えた。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面個室に入った客に料理をサービングしている女性従業員Aさんが、客から受け取った200元のチップを提出せずに、懐に収めたという理由で追及された。
レストランの至る所には監視カメラが設置されており、チップを隠すのは難しいが、一部の部屋には監視カメラがないため、チップを堂々と受け取ることが可能だ。
Aさんは他の従業員と共にチップを受け取ったが、終業後に責任者にチップを渡す場で、隠していたことがバレてしまった。
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責任者は、国に上納すべき外貨稼ぎの計画(ノルマ)を強調し、Aさんを思想闘争会議の舞台に上げて、入れ代わり立ち代わりにて厳しい批判を加えさせた。そして、このような過ちを犯すなと警告した。
別の情報筋によると、女性従業員が客から受け取ったチップを入れる箱が、客の目が届かない休憩室のそばに置かれたという。これに対して従業員からは不満の声が上がっている。