北朝鮮の金正恩総書記(国務委員長)が28日、創立60周年を迎えた国防科学院を訪問し、祝賀演説を行った。朝鮮中央通信が伝えた。
金正恩氏は演説で、「わが党の自衛的国家防衛思想の権化として経済建設と国防建設を並進させる道程が始まった1930年代の前半期から今日に至るまで、党の路線と戦略・戦術的重大課題を実行するために心を労し気を砕いて、価値ある研究開発の成果を無数に達成してきた国防科学者の愛国献身が、ここ科学地区の一木一草に歴々と宿っています」と述べた。
「国防科学院」60周年で祝賀演説
また、「自主によって尊厳のある国家は強力な自衛力に基づいており、いかなる威嚇にも能動的に対応しうる防衛資産は、不断に更新・創造する有能な人材なしには到底考えることができません。わが国家は、主体的軍需工業という頼もしい基盤と能力を持っているがゆえに、70余年間にわたって勝利の一路をたどってきました」と主張した。
金正恩氏は27日に打ち上げた衛星が失敗したことについて「軍事偵察衛星の保有は、アメリカの軍事的蠢動とあらゆる挑発行為によって国家の安全環境に重大な変化が生じている形勢の下で、わが国家が自衛的抑止力をさらに強化し、潜在的な脅威から国家の主権と安全を守り抜く上で先決的かつ必須の課題として提起されています」とし、「われわれが今直ちに実用的で必須のものだと言える通信衛星や気象観測衛星、資源探査衛星ではなく、偵察衛星の保有を先占目標として拍車をかけているのは、これがわが国家の安全と直結した焦眉の課題であるからです」と述べた。
つづけて、「われわれは、敵対勢力が武力の使用を考えることすらできないように、われわれの戦争の意志と能力を圧倒的なものとして永久化しなければなりません。そのためには、共和国武力を超強力的かつ絶対的な力の実体としてその威力を絶えず発展させなければなりません。われわれは国防科学技術を高度に発展させ、先端兵器と戦闘技術機材を不断に開発して、軍事強国としての圧倒的な武装力を引き続き強化し、そのすぐれた作用によって国家の主権と安全を完璧に守らなければなりません」と強調した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面さらに、「今回の偵察衛星の打ち上げが目標にしていた結実は達成できなかったが、皆さん、われわれは失敗に気を落として萎縮するのではなく、より力強く奮発することでしょう。失敗を通してさらに多くのことを知り、さらに大きく発展するものです。国家の尊厳と人民の生活のために決死の覚悟で奮闘するわれわれの国防科学者、技術者にとって、失敗はどこまでも成功の前提であって、決して挫折や放棄の動機にはなり得ません」と述べ、関係者らを鼓舞した。
そのうえで、「再三強調しますが、作戦上必要な宇宙偵察能力の保有は、絶対に放棄することも、何ものとも取って代えられないわれわれの自主的権利を守るための闘争であり、われわれの国家主権と正当防衛のための必須不可欠の先決課題です」と主張した。