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北朝鮮の去年の農業の作況は良好だったと伝えられている。それにもかかわらず、食糧状況は食糧状況は改善せず、食べ物も現金も底をついた「絶糧世帯」が続出している。

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の情報筋によると、両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)では今月3日に時点で、コメ1キロは6200北朝鮮ウォン(約105円)、トウモロコシは3500北朝鮮ウォン(約59.5円)で取引されている。中国からはコメ、トウモロコシ、ロシアから小麦粉が大量に輸入されているが、穀物価格は下がらない。空腹で登校も出勤もできない人が相次いでいる。

両江道の農業部門の関係者は、その原因を金正恩総書記の指示にあると指摘した。「昨年11月、 穀物生産量を報告する席で金正恩氏が万が一の事態に備えて6カ月以上の食糧を貯蓄するよう指示を下した」というのだ。

この指示は昨年11月18日、朝鮮労働党両江道委員会の会議室で行われた道級幹部対象の講演会で伝えられたもので、具体的な日付は明らかにせず、「最近、偉大な金正恩将軍様が、党と内閣の主要幹部たちに下した指示」という形式でのみ伝えられたとのことだ。金正恩氏の指示は、次のように続いた。

「わが国(北朝鮮)は土地が狭く、台風が一度来ただけで農業が台無しになることが多い。一年の農業が台無しになっても、国家運営に大きな打撃がないほど充分な食糧の余裕がなければならない」

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さらに金正恩氏は朝鮮労働党中央軍事委員会を通じて、昨年12月から今年4月までの間に、6カ月分の食糧を備蓄せよと、内閣収買糧政省、国防省、民防衛省の傘下機関に指示した。

情報筋は、北朝鮮の総人口2500万人への配給量を考えると、1日あたりの食糧需要は1万トンで、6カ月分なら180万トンに達するとの見方を示した。

両江道の別の幹部は今回の指示に批判的だ。

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「私たちは未だに『苦難の行軍』の後に作り上げた劣悪な食糧備蓄体系を維持し続けている。備蓄を適切に行うには、体系から統一的に整理しなければならない。指示は、常識外れも甚だしい内容だ」

1990年代後半の未曾有の大飢饉「苦難の行軍」の前は、内閣収買糧政部と朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の後方総局(補給担当部署)が、食糧備蓄を行っていた。しかしその後は、人民軍の大隊以上の部隊、連合企業所(大型国営企業)、協同農場まで戦時米と非常米を備蓄するようにした。あちこちがてんでばらばらに備蓄を行うため、様々な問題が生じているとこの幹部は指摘した。

「このように備蓄体系が複雑化しているため、軍の指揮官と協同農場の幹部が備蓄しておいた食糧を横流ししてもバレない。体系が二重、三重になっていて、国は(備蓄状況を)管理すらできない」

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(参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為

備蓄分、新たな収穫分、供給分問わず、横流しが常態化している。協同農場は肥料などの営農資材の購入のために市場に穀物を横流しする。ロクな給料をもらえない軍幹部や輸送担当者は、生活のため、あるいは私腹を肥やすために穀物を横流ししているのだ。