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EUは19日、北朝鮮人権決議案草案を第55回国連人権理事会に提出し、「北朝鮮で長い間続いている組織的で広範囲にわたる重大な人権侵害とその他の人権侵害を最も強力な言葉で非難する」と述べた。

決議案は、「北朝鮮政府が強制労働などの人権侵害と虐待で、違法な核兵器と弾道ミサイル開発に資金を調達しているため、男女平等と思春期の少女を含むすべての女性と少女の権利に対する尊重など、北朝鮮の人権状況は国際平和及び安全保障と本質的につながっている」と指摘している。

北朝鮮における女性に対する人権侵害の事例としては、人身売買と中国人男性との強制結婚、拘禁施設における性暴力、強制堕胎などが挙げられる。

(参考記事:「ボールペン大の注射針で…」北朝鮮”女性虐待”の生々しい場面

決議案はまた、「国家予算の不均衡な割合が軍事費に割り当てられており、適切な生活水準に対する権利や達成できる最高水準の身体的、精神的健康を享受する権利など、人権を完全に尊重し、保護し、履行できない結果をもたらしている」と懸念を示した。

北朝鮮は、社会主義保険制度で「医療は無料」だと謳っているが、現実は異なる。病院の医薬品は常に不足しており、患者は市場で買ってくることを求められる。また、医師の診察、治療を受けるにはそれなりのワイロが求められる。払わなかった場合には、後回しにされてしまう。

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北朝鮮国営メディアのプロパガンダに頻繁に登場する平壌産院では2021年7月、ワイロを支払わなかった患者が帰宅させられ、後に死亡する事件が起きている。

(参考記事:北朝鮮が病院に対する実態調査「医師からのワイロ要求が常態化」

決議案はさらに、北朝鮮国民も表現の自由が抑圧されていることも指摘している。反動思想文化排斥法、青年教養保障法、平壌文化語保護法の反韓流三法で、他国なら処罰の対象にならない、韓国のドラマ、映画など映像コンテンツ、音楽コンテンツを接することで処罰の対象となることを指摘し、自由を抑圧するこれら法律の改正、または廃止を求めた。また、政府から独立したメディアの設立許可などを求めた。

(参考記事:北朝鮮の女子高生が「骨と皮だけ」にされた禁断の行為

ごく基本的で目新しさのない決議案だが、北朝鮮は激しく反発している。国営の朝鮮中央通信は、ジュネーブ国連事務局、国際機構駐在の常設代表部の公報文を報じている。

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(参考記事:「罪のない難民が地中海で溺れ死のうと無関心」北朝鮮、EUを非難

これに先立ち、世界100カ国500以上の団体を代表する20の市民団体は、先週ジュネーブで開催された国連人権理事会の付帯行事と公開書簡で、報告書の発刊から10年経ったが、北朝鮮の人権状況は改善がない、または悪化した側面があるとし、国連の包括的な再調査が必要であると要請した。