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北朝鮮のかつての計画経済体制は、男性中心の社会だった。すべての男性はいずれかの職場に属することが義務化され、そこを通じて食糧や生活必需品の配給を受け取っていた。一方、女性は必ずしも職場に属する必要はなく、経済的主体となれなかった。女性を家事労働から解放して、労働者となる取り組みも行われたが、うまくいかなかった。

ところが1990年代以降、状況は変わり始めた。「苦難の行軍」と呼ばれる食糧難の時代、女性たちは手段を選ばず、家族を食べさせなければならなかった。

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食糧難が落ち着いてからは、なし崩し的に進んだ市場経済化により、女性の経済的地位は男性を超えるものになった。男性は配給が得られなくなり、給料も子どもの小遣い銭にもならないほどしか得られない職場に縛られていた一方、自由に動けた女性は積極的に市場で商売をして現金収入を得た。

女性の社会的地位は依然として低いが、それも徐々に変わりつつある。

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商行為は本来好ましからざるものとみなしている北朝鮮当局は、経済活動に様々な法的制約を課している。そのため、商売をするには多かれ少なかれ法律に触れる行為をせざるを得ないが、そんな中で当局が始めたキャンペーンが、市民を呆れさせている。平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

北朝鮮では、当局の政策を伝えるために政治講演会が頻繁に行われるが、最近新義州(シニジュ)で行われた講演会のテーマはこのようなものだった。

「女性犯罪者との闘争を強く繰り広げよう」

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その内容とは、「金儲けのため危険な行為に手を染める若い女性が急増している」として、そうした現象との闘争を繰り広げようというものだった。

講演者は、女性による犯罪行為として、偽の医薬品の生産、流通を挙げた。2020年1月に新型コロナウイルスの国内流入を防ぐために国境が封鎖されたことで、国内は深刻な医薬品不足に陥ったが、偽の医薬品が大量に流通する結果を招いた。

(参考記事:コロナ禍で医薬品不足が深刻化する北朝鮮で蔓延る「ニセ薬」

だが、情報筋はそんな講演内容に否定的な姿勢を示した。

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「医療環境が劣悪でなければ、(偽の)医薬品を作って売ることもなかっただろう」

講演を聞いていた人々の反応も、情報筋同様に非常に批判的なものだった。

「この国で違法行為を犯さずにどうやって食っていけるのか」
「家族が飢えを生き延びるために今すぐ現金が必要なのに、非社会主義との闘争やら女性犯罪者との闘争やらを何百回も叫んだところで、何の意味があるのか」