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金正恩総書記が檄を飛ばし、備蓄品を解放することにしたにもかかわらず、相変わらず解消しない北朝鮮の医薬品不足。そのすきを狙って、ニセ薬の販売が横行している。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

両江道(リャンガンド)大紅湍(テホンダン)の情報筋によると、郡の中心地ならともかく、遠く離れた農村では、薬の入手は非常に困難だ。情報筋の住む村に先月末、薬売りの行商人がやってきた。これ幸いと、村の人々はアスピリンなど様々な薬を購入した。

風邪の症状があった人がその薬を飲んでみたが、全く効果がなかったため、診療所に医師に見せてみた。医師が錠剤をかじったり火で炙ったりして出した結論は「ニセ薬」だというものだった。

アスピリンと称するものは、小麦粉をそれらしく固めたものに過ぎず、同時に持ち込まれた「総合ビタミン剤」も、特有の匂いがしなかったという。

薬やパッケージには製薬工場の名前が刻まれており、本物のように見えたという。村の人々は、実際には薬効成分がほとんど入っていない「牛黄清心丸」などの漢方薬は信じないが、「国連薬」と呼ばれる、援助物資として入ってきた外国製の薬は信じる傾向にあった。もはやそれすらも信じられなくなり、何に頼ればいいのかわからないと嘆いているという。

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ちなみに先日、同じ両江道の甲山(カプサン)で、ペニシリンを市場で購入して注射した女性が死亡する事件が起きているが、考えられる死因のひとつとしてニセ薬であった可能性が挙げられている。

(参考記事:北朝鮮女性、市場で購入したペニシリンを注射して死亡

ニセ薬が蔓延る状況は、都市部とて同じだ。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の大都市、清津(チョンジン)の情報筋は、「当局が国家予備戦略物資を放出してコロナ対策に回すと騒いでいるが、医薬品不足は依然として深刻だ」として、ニセ薬が出回っている状況を伝えた。

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現地ではアスピリン、アセトアミノフェンなどの解熱鎮痛剤、総合ビタミンなどが主に売られており、それ以外にも様々なニセ薬がある。情報筋の友人は、熱があったため、市場でアセトアミノフェンを購入して服用したものの全く効果がなかったという。

薬の包装はきちんとしており、錠剤には外国の文字が刻まれている点から、情報筋は、国内の製薬工場で製造されたと見ている。真偽は不明ながら、ニセ薬業者が製薬工場の幹部にワイロを渡して設備を借り、夜間にニセ薬を製造しているという噂が流れているとのことだ。

国営工場が、いくらかの手間賃、ワイロなどを受け取って、民間業者に設備を貸し出すことは広く行われているが、噂が本当ならば、本物の製薬工場が、ニセ薬の製造に加担していることになる。

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ちなみに、2019年に広く出回り多くの死者を出したニセ焼酎は、上記と同じような手法で国営工場を借りて、パッケージを印刷していたと伝えられている。

(参考記事:金正恩氏「ニセ焼酎で公開処刑」事件で警察が動く

いずれの情報筋も、当局の地方に対する差別、コロナ無策に怒り心頭だ。

「当局が地方に住む人民の生命と健康に関心がないため、地方の住民はこんなニセ薬に頼るしかない」(清津)
「国が医薬品を正常に供給さえしてくれれば、こんなことが起きたろうか。幹部連中はニセ薬に接する機会もないだろうが、一般住民はカネを払ってニセ薬を飲まなければならない状況で、とても悲しい」(大紅湍)