朝は輝け  この山河 金銀の資源も満ちて
三千里  美しきわが祖国 五千年の永き歴史に

北朝鮮の国歌「愛国歌」の歌い出しだ。この歌詞から朝鮮半島を指す「三千里」が消えた。

北朝鮮外務省のウェブサイトに掲載された歌詞は、以下のように変更されている。

朝は輝け  この山河  金銀の資源も満ちて
この世  美しきわが祖国  五千年の永き歴史に

これは15日にNHKが報道した。

金正恩総書記は、最高人民会議(国会に相当)第14期第10回会議の施政演説で、韓国はもはや同じ民族の関係ではなく、敵対国家であるとして、統一関連の用語について、次のように述べている。

わが人民の政治・思想生活と精神・文化生活の領域で「三千里の錦繍江山」「8千万同胞」のように、北と南を同族にまどわす残滓的な単語を使用しないということと、大韓民国を徹頭徹尾、第1の敵対国、不変の主敵と確固と見なすように教育を強化するということを当該の条文に明記するのが正しいと思う。

この他にも、憲法にある「北半部」「自主、平和統一、民族大団結」という表現が今や削除されなければならないと思う。

私は、これらの問題を反映して共和国憲法が改正されなければならず、次回の最高人民会議で審議されなければならないと思う。

憲法改正と共に、「同族、同質関係としての北南朝鮮」「わが民族同士」「平和統一」などの象徴として映りかねない過去時代の残余物を処理するための実務的対策を適時に伴わせなければならない。

(参考記事:「南北関係史に終止符」「韓国は不変の主敵」金正恩氏、最高人民会議で演説

この演説内容が、さっそく国歌の歌詞にも反映されたものと見られる。なお、労働新聞や朝鮮中央通信などは国歌の歌詞変更について報じていないが、頻繁に使用していた「三千里」という言葉の使用を、この演説の後からいっさい使わなくなっている。

金正恩氏が指摘した他のワードに関しても、今後、書き換えが進むものと見られる。

この愛国歌は、京畿道出身の詩人で1946年に38℃線を越えて北朝鮮に入った、朴世永(パク・セヨン)が作詞し、1947年5月に発表した。また、曲は元山(ウォンサン)出身の炭鉱労働者兼音楽家の金元均(キム・ウォンギュン)が翌月発表した。現在の北朝鮮政府の前身である北朝鮮人民委員会は同年6月29日に、この曲を愛国歌として定め、建国を前後して普及が始まった。

それまでは、作曲家の安益泰(アン・イクテ)が作った愛国歌(現在の韓国の国歌)を、日本の官憲にバレることのないように「蛍の光」のメロディーで歌っていた。こちらの曲の歌詞にも「三千里」が入っている。

東海の水が乾き果て  白頭山が磨り減る時まで
神の護りたもう  我が国万歳

むくげの花  三千里  華麗なる山河
大韓人よ  大韓を  末永く護れ