北朝鮮の「名門大学」を汚染する偽学生と拝金主義

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北朝鮮で「8.3」と言えば、「偽物」や「安物」などの意味を持つ言葉だ。

故金正日総書記は1984年8月3日、軽工業製品展示会で廃材をリサイクルした人民消費品(生活必需品)の製造を指示した。それで作られたものを「8.3製品」と呼ぶようになったが、質が悪いものが多かったことから、ネガティブワードとして使われるようになり、そこから様々な言葉が派生した。

例えば「8.3ジル」とは、職場にワイロを支払い、本来は違法行為である無断欠勤に目をつむってもらい、空いた時間に市場などで商売をすることを指す。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が取り上げたのは、「8.3学生」の話だ。大学に在籍していながらも講義には全く出席せず、卒業証書だけを受け取る学生のことを意味する。

北朝鮮の大学の成績はレポートの提出と出席率の良し悪しで決められるだけあり、出席チェックは綿密に行われるが、カネさえあればそれくらい自由に書き換えられるのだ。

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具体的には、大学にセメント、ガソリン、教職員の食糧、野菜などを大量に渡し、出席扱いにしてもらい、卒業証書を得るというものだ。

ある学生は、平安北道(ピョンアンブクト)定州(チョンジュ)に在住したままで、120キロ離れた首都・平壌の張鉄久(チャン・チョルグ)平壌商業大学に通ったことにしていた。

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北朝鮮の大学生は寄宿舎に住むことが義務化されているが、その規則を無視して、定州の自宅に住みながら、月1回だけ講義に出席していた。なお、定州から平壌までは列車で3時間以上かかる。

この学生は、父親ともに中国から物品を密輸して儲けており、その資金で大学にワイロを払い、卒業証書まで得たという。

一方、平壌獣医畜産大学のある学生は、いっさい講義に出席せず、論文もカネで買って卒業した。固定電話や携帯電話の販売ビジネスに忙しく、大学に通う時間がなかったからだ。

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このような8.3学生は、「地方大学」には昔から存在した。ところが最近では、一流と言える「中央大学」にまで現れるようになった。このような報告にショックを受けた内閣教育省は、徹底的な調査を各中央大学、地方大学に命じた。

「先進科学と技術で国の将来を担う人材育成機関である大学に8.3学生が多数存在するのは、実に呆れることであり、到底信じられないことである」(教育省の指示文の一部)

平安南道人民委員会(道庁)の教育部は、今月中旬までに各大学の出席簿を確認し、学生との個別談話(面談)を行うなど、不正行為の把握に乗り出した。

ワイロを受け取ってこのような行為を容認した教授や、関与した大学幹部に対しては解任、学生本人には退学、卒業無効などの処罰が下されるものと見られている。

しかし、今回不正行為がバレた学生や教授は、「運が悪かった」としか言いようがない。入試、論文、卒業を巡り、黒いカネが飛び交うのは決して珍しいことではない。

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教授も霞を食って生きているわけではないのに、支給される月給は到底食べていくことのできないほどの薄給で、学生やその親からワイロを受け取ることでようやく食いつないでいる。時々監査と摘発が行われているが、しばらくすれば元の木阿弥だ。

問題の解決には、給料の現実化が避けられない。しかし、手にした権力を振りかざし、ワイロを受け取る拝金主義が北朝鮮で蔓延していることを考えると、たとえ賃上げが実現したとしても、ワイロの習慣が消えることはないだろう。

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