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暖冬傾向にあると言われている今年の冬だが、北朝鮮ではどうやら寒い日々が続いているようだ。中国との国境に接する平安北道(ピョンアンブクト)新義州(シニジュ)では、各地で凍結した水道管が破裂する事故が起きている。

現地のデイリーNK内部情報筋は、新義州教員大学、師範大学、軽工業大学、農業大学で先月22日、水道管が破裂する事態が相次いで起こったと伝えた。

水道管の破裂は冬の風物詩のようなものだが、今回は異例だ。寒波に加え、電力不足で建物が充分暖まっていなかったことから、寄宿舎や食堂などで水道が出なくなってしまった。

北朝鮮の電気供給は水力への偏重が著しいため、降水量の少ない冬には、停電が頻発する。

(参考記事:「本当に衛星は成功したのか」北朝鮮のお粗末な電力事情

結局、学生を総動員にして水汲みをさせて解決することとなった。そのせいで、大学の講義が3日間も取りやめになってしまった。

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一見、よくあることのようだが、朝鮮労働党平安北道委員会(道党)は深刻な問題と受け止めた模様だ。中央から何らかの処罰が下されるかもしれないと震え上がり、先月25日夜に4つの大学の責任イルクン(トップ)を呼びつけて非常会議を行った。

会議に参加した人民委員会(道庁)の担当部署と大きな企業所の幹部に伝えられたのは、それぞれ大学を割り振り、水問題を解決してやれというものだった。

「冬季の上下水道と飲水の問題の解決のための革命的な対策を立てよ」(道党)

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同時に都市経営部門、上水道管理部門に対して、技術者を派遣して機関、企業所、託児所、幼稚園などで上下水道問題が発生していないか確認、報告せよとも命じた。

ただ、上部への報告なしに授業を取りやめた大学の責任イルクンに対する思想闘争(吊し上げ)や処罰は行われなかった。そのおかげで、学生や市民の間で「対策を立てた道党の姿勢に驚いた」と評判になっている。

インフラのメンテナンスはごく当たり前のように感じるが、行政サービスが極めて劣悪な北朝鮮では、問題が起きても放置されるのが当たり前だ。実際に解決に動き出しただけで、驚きを持って受け止められることが、普段の状況を表している。

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一方で、「数百回会議を開いてもその時だけ」と、根本的にシステムを改善しない限り、問題の解決ははるか先だという批判の声も上がっている。

(参考記事:【北朝鮮国民インタビュー】「飲み水の確保が最優先。電気など夢のまた夢」