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北朝鮮当局が、穀物流通の主導権を取り戻すために開設、再整備した国営米屋の「糧穀販売所」が昨年末、消費者に3日分の食糧を緊急販売した。価格上昇を防ぐことが目的だが、販売は一部に限られ、買えなかった人々からは不満の声が上がっている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

両江道(リャンガンド)の情報筋は、糧穀販売所が昨年末の30日と31日、3日分の量に限って国内産のコメを販売したと伝えた。

恵山市場では中国産のコメが1キロ5400北朝鮮ウォン(約92円)、国内産の新米が5700北朝鮮ウォン(約97円)で販売されていたが、糧穀販売所では中国産のコメと同じ価格で販売した。この販売がなければ、国内産の価格は6000北朝鮮ウォン(約102円)を超えていただろうと情報筋は見ている。

市民の間で食糧安保の重要水準として捉えられている6000北朝鮮ウォンを超え、不安が広がらないように、コメを緊急放出して価格上昇を抑えたものと思われる。

「市場でのコメ価が6000北朝鮮ウォン以下であれば、住民は全国的に食糧に余裕があると受け止め、6000北朝鮮ウォンを超えると全国的に余裕がないと受け止める。つまり、食糧危機として捉えられる」(情報筋)

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食糧危機との不安心理が広がると、市民は市場に殺到してコメを買い漁り、さらにコメ価格の上昇をもたらすが、緊急放出によりそれが抑えられたということだ。

(参考記事:金正恩の「米屋の店長」ら、食糧難で見せしめ処刑か

一方、食糧販売の内部事情に詳しい別の情報筋によると、今回緊急放出されたコメは、金正恩総書記の生誕記念日である1月8日に販売するためのもので、それ以前に販売する計画はなかった。

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しかし、市場でのコメ価格の急上昇を受けて、緊急販売が行われることになった。その代わりに元々予定されていた1月8日の販売は行われない可能性があるとのことだ。

一方、販売が行われたのは都市部だけで、郡部では「われわれは人間ではないのか」(情報筋)という不満の声が巻き起こったという。今回の緊急販売は全国の各年で行われたが、いずれも農村部は対象から除外された。自宅の小規模農地(トゥエギバッ)で栽培が可能だからというのが、その理由と見られる。

販売量は、勤め先のある人は1日あたり450グラム、成長期の7歳から17歳までは280グラム、幼児、高齢者、障がい者には210グラムだったが、「その程度では空腹を満たすことはできない」(情報筋)ほどの少量だ。

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この手のやり方に情報筋は批判的だ。

「市場での食糧価格が高騰するたびに、民心を和らげるために安く売るふりをするが、このような方法では食糧難は克服できない。糧穀販売所の価格も市場での価格と大差なく、長期的にはむしろ食糧難を助長する可能性がある」

(参考記事:拝金主義で骨抜きにされていく「金正恩の米屋」計画