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北朝鮮は2020年1月、新型コロナウイルスの国内流入を防ぐために、国境を閉鎖し、人と物の行き来を完全にブロックした。

自国民の帰国を許さないほど厳格な鎖国状態に入った北朝鮮は、中国で逮捕され強制退去処分を宣告された人々の受け入れをも拒否した。そのおかげで命拾いした人もいた。しかし、今年8月から徐々に強制送還が開始され、中国の杭州アジア競技大会が終了した今月8日以降、大々的な送還が進められている。

中国も加盟している難民条約は、難民を生命や自由が脅威にさらされるおそれがあるところに帰してはならないと定めているが、中国は脱北者を「経済目的の不法入国者で、難民ではない」としており、以前から送還の対象としてきた。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は難民認定ガイドラインで、「家族統合の原則」を示しており、難民本人と配偶者、未成年の子ども、高齢の親を引き離さないように勧告している。しかし、上述の通り、中国は脱北者が難民でないとしているため、このガイドラインも適用されることはない。

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デイリーNKの内部情報筋によると、強制送還されて穏城(オンソン)と新義州(シニジュ)の保衛部の集結所に勾留されている人の中には、62歳の高齢女性や15歳の少女が含まれている。

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この少女は北朝鮮で生まれたが、家庭の事情で8歳のときに親によって売られ、中国の家に引き取られた。養父を刃物で刺し、一度は逃走したが、後に自首して中国で勾留されていた。中国人の養子になったものの、戸籍にその旨が記載されておらず、結局は強制送還の対象になってしまったという。

(参考記事:中国に売られた北朝鮮女性が驚愕…現地警察が伝えた「意外な言葉」

彼女がなぜ養父を刺したのか、どのような暮らしをしていたのかについては伝えられていない。

(参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち

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彼女のように、強制送還された10代の未成年者は、保護のための特別な措置は取られず、他の強制送還者と同じように扱われる。集結所に勾留され、成人と同様に取り調べを受けている。

保衛部は取り調べと同時に、中国側から個人資料を受け取り、脱北の目的や動機、中国での生活、韓国行きを試みたか否かなどを調査する。

経済的目的(出稼ぎ、商売)や親戚訪問のために脱北した場合なら、安全部傘下の労働鍛錬隊や教化所(いずれも刑務所)に送られる。一方、韓国行きを試みたことが確認されれば、国家保衛省(秘密警察)傘下の管理所(政治犯収容所)に送られる。

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ただ、韓国行きを試みた者を摘発できれば、担当保衛員の成果となるため、嘘の自白を引き出すために拷問を行っている。また、見せしめのために衆人環視の中で暴力を振るうことも日常茶飯事だ。

「中国で何をしていたか正直に語る者などいるわけない」(情報筋)

デイリーNKの取材の結果、穏城の集結所には保衛員が10人、戒護員が20人、新義州の集結所はそれぞれ20人ずついることがわかった。全員が男性だ。

北朝鮮当局は近日中に、さらに多くの脱北者の身柄を中国側から引き受ける計画を立てているという。そのタイミングは、今集結所に勾留されている人々に対する処分が下されてからになるだろうと情報筋は見ている。