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人民的な教育制度は労働者、農民をはじめとした広範な勤労人民とその子女に教育の権利と自由を保証し、進歩的な民主主義教育を与える真の無料教育制度である。教育事業に必要なすべての負担を国家が背負って保証するわが国の全般的無料義務教育制度は最も人民的で徹底した無料義務教育制度である。

これは2005年1月設立の北朝鮮「朝鮮教育後援基金」のウェブサイトに掲載された、同国の教育制度を紹介する文章の一部だ。「無料教育」を謳いつつも、資本主義国に住む海外同胞から集めた資金で、各種学校の設備に支援を行うこの団体の存在は、北朝鮮の教育制度が抱える大きな矛盾を表していると言えよう。

そもそも「無料教育制度」すらもはや崩壊している。もし機能していれば、この若者の命が失われることはなかっただろう。

首都・平壌の万景台(マンギョンデ)区域の光復洞(クァンボクトン)の高層マンションで先月末、高校生A君が飛び降り自殺を図った。現地の情報筋によると、数多くの近隣住民が無惨な姿となったA君を発見し、現場の様子を携帯電話で撮影した。

通報を受けた安全員が光復洞分駐所(交番)と万景台区域安全部(警察署)からやって来たのは、1時間も過ぎた後のことだった。彼らは、現場を収拾するとして、野次馬の携帯電話を回収し始めた。

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当初は、野次馬が現場を撮影していないか、誰かと通話して事件のことを話していないかをいちいち聞き込んでいたのだが、「面倒くさい」との理由で、現場にいたすべての人の携帯電話を回収して持ち帰り、検査を行って、事件の噂が広まらないようにしたという。

安全部は、何かしら事件が起きると、捜査よりも、事件の隠蔽に汲々とする。「社会に動揺が広がる」という理由からだ。

A君はクラスで1、2を争う成績を収め、教師になることを夢見て師範大学への進学を希望していた。しかし、親は生活が苦しくそんな余裕はないとして、担任教師に息子を軍の招募対象(徴兵リスト)に入れるように頼んでいた。学校での会議の結果、親の希望通り、A君は軍に行くことになった。

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それを知ったA君は、クラスメートに「勉強ができても大学に行けず、教師にもなれない」と嘆いていたという。親にも「貧乏ぐらしで大学も行けないのに平壌に住んでどうなる」と不満をぶつけたところ、父親に頬を殴られた。その怒りを抑えきれなかったA君は、発作的に自ら命を絶ったものと思われる。

北朝鮮の大学は、入試から卒業に至るまで、あらゆる過程で現金が必要になる。入試担当者には、合格にしてもらえるようにワイロを渡し、学期ごとの試験、卒業論文の審査では、教授にワイロを渡す。

(参考記事:北朝鮮で毎年繰り返される大学の受験不正

学生たちは、学費を稼ぐために様々なバイトをする。金持ちの子どもの家庭教師ならまだしも、それにありつけなかった者は、売春、覚醒剤や韓流コンテンツの密売など、様々な違法行為に手を出す。プロパガンダの通り、北朝鮮の教育がすべて無料ならばそんな必要はないはずだ。

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(参考記事:北朝鮮の女子大生「ズタボロ」で吊し上げ…「叔父」らと重ねた禁断の行為

地域住民は、「平壌と言えど、1日1食にもありつけない家が多く、貧富の差は天と地ほどある」と、前途有望な若者の死を悼んだ。

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