北朝鮮の国営高麗航空は、首都・平壌をハブにして、中国の北京、瀋陽、ロシアのウラジオストクを結ぶ3路線を中心に運航を続けてきた。しかし、新型コロナウイルスの国内流入を恐れた北朝鮮当局が国境を閉鎖したことに伴い、2020年に運航を停止した。
今年8月22日に、約3年半ぶりに北京首都国際空港に同航空の機体が飛来した。しかし、これは駐在期間が規定を超えた外交官らを帰国させるための臨時便だったようだ。また、9月12日にはウラジオストク国際空港にも飛来しているが、これは金正恩総書記のロシア訪問の支援要因や機材の運搬のためと見られている。
(参考記事:在中国留学生の北朝鮮帰国がついに始まる)デイリーNKジャパン編集部が、飛行中の航空機の位置をリアルタイムで表示するウェブサイト「フライトレーダー24」で検索したところによると、平壌発北京行きの高麗航空JS151便は8月21日、22日、26日、29日に運航され、10月24日になって再び運航された。また、JS251便も28日、31日にも運航されている。さらに、北京発平壌行きのJS152便、252便も同日に運航されている。
いずれも平壌を離陸した時間の記録はないものの、151便は午前9時20分前後、251便は午前11時前後に北京の空港に着陸している。152便は午後2時または3時に、252便は午後2時30分前後に離陸しているが、こちらも平壌に着陸した時間の記録はない。
使用された航空機はロシア製のツポレフ204−100B型機で、機齢は14年だが、31日の便には、機齢が30年に達するツポレフ204ー300型機が投入されている。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面いずれも曜日は火、木、土で、コロナ前に運航されていたスケジュールと一致しており、定期運航を再開した模様だと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。ただ、JS251便は7月から10月まで金曜日に運航されていたのとは異なり、JS151便と同じ木曜日に運航されている。
旅客機の所属情報サイト「プレーンスポッター」によると、ツポレフ200型機は中型の双発ジェット機で、204ー300型機は、かつてはツポレフ社のテスト用の飛行機として使われていたが、2007年12月から高麗航空所属となっている。204−100B型機は、ロシアのレッドウィングス社が使用していたものを、リースする形で2010年3月から投入している。高麗航空はこれら2機と、ウクライナ製の小型のアントノフ148型機を合わせて4機の機体を所有している。
北朝鮮は現在、外国人観光客の受け入れの再開に向けて様々な準備を行っていると伝えられているが、高麗航空が本格的に定期運航を再開するのはそれ以降になりそうだ。
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