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ガスの普及が進んでいない北朝鮮で、最も一般的な燃料と言えば石炭だ。今年は去年より価格が4割ほど下がり、懐事情の厳しい庶民に嬉しいニュースとなっている。

しかし、価格低下は全国的な現象ではないようだ。北部山間地にある慈江道(チャガンド)、両江道(リャンガンド)では石炭より、薪を使うのが一般的だが、双方とも価格が高騰しているという。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

慈江道の情報筋は、10月中旬まで1立方メートルで13万北朝鮮ウォン(約2210円)だったが薪が、同月23日から急に14万北朝鮮ウォン(約2380円)に上がったと伝えてきた。それもまもなくすると、15万北朝鮮ウォン(約2550円)に上がる見込みだという。

両江道の情報筋は、10月初頭まで1立方メートルで13万北朝鮮ウォンだったが薪が、22日から急に寒くなったことで15万北朝鮮ウォンに、石炭1トンの価格は25万2000北朝鮮ウォン(約4280円)から29万北朝鮮ウォン(約4930円)に上がったと伝えた。

デイリーNKの調査によると、平壌や新義州(シニジュ)では、石炭1トンが昨年同期に270元(約5540円)〜320元(約6570円)だったのが、180元(約3700円)〜230元(約4720円)に下がっている。比較時期が異なるものの、両江道より安い。地理的な理由で、流通経路が異なるためだろう。

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その理由について慈江道の情報筋は「コロナ禍の長期化で中国との貿易がストップしたせいだ」と説明する。

「中国から液化ガスを輸入できなくなり、石炭と薪の価格が急に上がった」

経済的に余裕のある家庭はコロナ前、ガスでご飯を炊き、部屋を暖めていたが、コロナ禍で国境が閉鎖され輸入ができなくなったことで、薪や石炭を使うようになり、需要が増えて価格が上昇したとのことだ。

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(参考記事:ガスが止まり七輪を求めて駆けずり回る平壌の富裕層

ちなみに両江道で一冬を暖かく過ごすには、石炭なら3トン、薪なら4平方メートルと、平壌や新義州より多くの量が必要となる。今の時期にまとめ買いするなら石炭は87万北朝鮮ウォン(約1万4790円)、薪なら60万北朝鮮ウォン(約1万200円)もする。石炭を買う金額で、コメなら170キロ、トウモロコシなら348キロも買える。

「オンドルの焚口の方が食べ物より金食い虫だ」(情報筋)

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薪の価格が上がるのには別の理由がある。山林緑化政策の一環で、薪の切り出しは禁じられているのだ。薪を切り出すには、山林監督員にワイロを掴ませるか、密かにやるしかなく、供給が減っているようだ。また、石炭も中国への輸出に回され、内需用が減っている。

(参考記事:北朝鮮、燃料にも「格差社会」の波…石炭より薪が人気

情報筋は、「国が冬の薪対策を立てないと、凍死する人が出るだろう」と懸念を示した。