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鴨緑江大橋(中朝友誼橋)は、北朝鮮と中国の貿易の約7割が通過すると言われている大動脈だが、随分前から「動脈硬化」を起こしている。

もともとは単線の鉄道橋として1943年に建設された。朝鮮戦争中の爆撃で破壊された後、修復を繰り返しながら使ってきたものの、傷みが激しくなり、工事のためしばしば通行止めになっていた。また。そもそも幅が狭く片側通行となっており、鉄道と道路の併用橋であるため、列車が通過する際には車両が通れなくなるなど、極めて使い勝手が悪い。

(参考記事:北朝鮮と中国を結ぶ橋、補修工事で9日から一時閉鎖

その解消のために建設されたのが、片側2車線の新鴨緑江大橋だ。だが、2010年末に着工し、2014年に完成したものの、未だに開通に至らず、10年近く野ざらしにされてきた。北朝鮮としても開通にこぎつけたいようだが、当面は無理かもしれない。その実情を米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋によると、平壌からやって来た貿易代表団が、中国の丹東市政府の幹部と面会した。その場で北朝鮮側はこんな話をしたという。

「新鴨緑江大橋を開通させるための通関設備を送って欲しい」

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中国側の税関・入管の施設はとっくの昔に完成しており、トラックの登録を行うシステムや、重量を測る設備も整えられている。一方、北朝鮮側では何もできていない。これに対して去年、中国側から投資を行うとの話が出たものの、具体化しないことに業を煮やした北朝鮮側が直接話をつけに来たというものだ。

中国に駐在する北朝鮮の貿易関係者は、橋への連絡道路、物流倉庫、税関の建設費用の投資を要請したのは、合意があったからだと主張した。

「われわれが新鴨緑江大橋の橋詰から新義州を結ぶ道路、物流倉庫、税関の建設の費用(の投資)を中国側に要請したのは、当初から新鴨緑江大橋の建設費用を中国が全額負担することで合意していたためだ」(幹部)

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金正恩総書記と習近平国家主席は、中国が費用を負担することで合意したと伝えられ、昨年に道路は完成したものの、税関施設の建設には着手できていない。

(参考記事:「11月まで工事再開を」北朝鮮と中国つなぐ新大橋、金正恩氏が厳命か

橋と付帯設備の建設は中国に丸投げする北朝鮮だが、高圧電流の流れる鉄条網の設置には、自国の予算を投じている。

別の情報筋によると、新鴨緑江大橋のある南新義州(ナムシニジュ)から龍川(リョンチョン)にかけて、国境警備隊を動員して、高圧電流の流れる鉄条網が設置された。橋が開通すると密輸船や脱北者が増えると見た当局が事前に設置したものだという。

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さらに別の情報筋によると、この工事は今年末までに終えるように当局からの指示が下され、資材はすべて中国から輸入されているという。近隣住民からは「そんなカネがあるなら食べ物を配るべきなのに何をしているのか」と批判する声が上がっている。中国もホンネでは同じようなことを考えているだろう。