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北朝鮮では今月中旬から、春まで食べる大量のキムチを漬け置きする「キムジャン」が始まった。2020年1月にコロナ対策で国境が閉鎖されたことにより生じた経済難で、多くの家庭でキムジャンができなくなっていた。

しかし、今年になってから国境が段階的に開かれ、ヒトとモノの行き来が再開したことに加え、キムチに欠かせない白菜の値段が安いため、数年ぶりにキムジャンができると人々は喜んでいる。

ただ、キムチは白菜さえあればできるものではない。トウガラシの粉とニンニクも欠かせないが、こちらはキムジャン需要で価格が高騰している。そこで、人々は代用品を利用している。両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

(参考記事:白菜の豊作で「餓死せずに済んだ」北朝鮮の人々

恵山(ヘサン)で流行っているトウガラシとニンニクの代用品とは、大豆だ。茹でて冷ましてから挽いたおからを、塩漬けにした白菜に混ぜて漬けると、トウガラシを入れなくても刺激のある味になると評判だという。

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北朝鮮では、豆腐を作った後にできるおからを入れたコンビジチゲ、おからを固めて作った「人造肉」(ソイミート)など、大豆製品が広く食べられてきた。その中には、発酵させたおから、トゥンビジもある。韓国では江原道(カンウォンド)で食べられているが、北朝鮮でも一般的なようだ。

日本の納豆に匂いが近いチョングッチャンとは若干異なる匂いや味で、そのまま食べても非常に美味しい。大豆は4100北朝鮮ウォン(約70円)で買えるが、トウガラシはその6〜7倍、粉末にしたものならそれ以上するので、かなりの節約になる上に、味もいいという。

過去3年半もの間、北朝鮮の人々は極めて厳しい食糧事情を経験した。食べ物や現金が底をついた「絶糧世帯」が続出し、餓死する人も出たほどだ。そんな体験を経て人々の心には、「キムチは栄養源として極めて重要」であるということが刻み込まれた。いくら生活が苦しくとも、少量でもいいからキムジャンをしておけば、困ったときにも乗り切れると考えているということだ。

(参考記事:「あちこちで金持ちが餓死」むなしく消える金正恩の叫び

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今年の工場、企業所、機関の年末総和(総括)では、白菜や大根をどれだけ労働者に配給されたかが問われることになっている。そのため、農場からなんとかしてこれらを取り寄せようと努力している。そのおかげで、家族の誰かが国営企業や国の機関に勤めていれば、職場を通じて配給が得られ、なんとかキムジャンができるという。

しかし、老人や栄誉軍人(傷痍軍人)、障がい者など、国からの年金や配給に頼って生きている人々にとって、一度に多額の費用がかかるキムジャンは考えることすらできない贅沢だ。

(参考記事:「今にも餓死しそうだ」北朝鮮の元兵士らが集団抗議