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北朝鮮の穀物価格は、国際的な要因より国内要因に大きく影響される。前年の蓄えが底をつき、穀物の需要が高まる春から初夏にかけて最も高く、麦やジャガイモの収穫が始まる7月ごろから下落傾向となり、コメの収穫が完全に終わる11月、12月に最安値となる。

デイリーNKが定期的に行っている物価調査によると、平壌の市場での今月20日のコメ1キロの価格は5730北朝鮮ウォンだった。(以下すべて1キロの価格、北朝鮮ウォンは約17円)同月6日の5700北朝鮮ウォンと比べるとほぼ横ばいだが、3月以降での最高値となった。

市場の物価が高騰していた昨年8月21日の6100北朝鮮ウォンよりは6%下がっているが、コロナ鎖国前の2019年8月20日と比べると4550北朝鮮ウォンで、26%も高くなっている。

中国との国境に面した平安北道(ピョンアンブクト)の新義州(シニジュ)、両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)でも高値が続いており、コメは5760北朝鮮ウォンと5910北朝鮮ウォンで、前年同月比でそれぞれ0.3%、1.9%上昇している。

ただ、6000北朝鮮ウォン以上で販売しようとすると取り締まりの対象となるが、市場の外で商売をしているイナゴ商人(露天商)は、6000北朝鮮ウォン以上で販売している。市場の外で商売することそのものが取り締まりの対象となり、いくらで売ろうが関係ないため、より実勢に近い価格で販売していると言えよう。

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一方、貧しい庶民が食べるトウモロコシは、6日に2740北朝鮮ウォン、20日に2650北朝鮮ウォンで販売され、3.3%下落した。新義州では2.9%、恵山では2.5%下落した。これは、黄海道(ファンヘド)、平安道(ピョンアンド)の個人の畑で収穫されたものが市場に出回るようになったためと見られる。

複数のデイリーNK内部情報筋によると、小麦、大麦、ジャガイモの作況は昨年よりは両行だとのことだ。これらが増えて価格が下落しても、コメ価格が下がらないのは、輸入される量が不足し、充分な量が流通していないためと見られる。

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一方で、野菜や果物も作況は、異常気象の影響を多少は受けたものの、価格はむしろ大幅に下落していると、両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えている。

一昨年と今年の価格を比較すると、桃は9000北朝鮮ウォンから5500北朝鮮ウォン、スモモは1万2000北朝鮮ウォンから4000北朝鮮ウォン、アンズは1万1000北朝鮮ウォンから3000北朝鮮ウォンと、いずれも大幅に下落している。

価格の大幅な下落について情報筋は、「価格が負担になって、手の届く人が少ない」からと伝えている。日々の糧を確保するのに精一杯で、贅沢品の果物にまで手が出ないということだ。ただし、国境が再び開かれ、中国産のものが入ってくれば、コメ価格が大幅に下がることも考えられるとも伝えている。

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