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旧来のテクノロジーが充分に普及していなかった途上国で、新しいテクノロジーが一気に飛び越えて普及することを「リープフロッグ現象」という。

北朝鮮を例に取ると、かつては個人宅への設置が認められず、その費用も非常に高かった固定電話が普及せず、その後にサービスが始まった携帯電話が急速に普及したことが挙げられる。

(参考記事:北朝鮮、突然の「固定電話禁止令」で混乱広がる

同国では、買い物のあり方においても同様の現象が起きている。日本や他の国にあるような大型スーパーやコンビニがほとんど存在しない環境の下で、ネットショッピングが人気を集めているのだ。デイリーNKの内部情報筋が伝えた。

情報筋の話によると最近、携帯電話で商品を購入する人が増えており、その割合は首都・平壌で10人に6人、地方では10人に4人になるという。

スマートフォンにインストールしたネットショッピングアプリで商品を購入すると、配達員が自宅まで届けてくれる。盗難を防ぐためだろうか、留守宅に配達しないように、家に人がいるか電話で確認した上で、商品を置いていくという。女性たちは、指先ひとつで楽に買い物ができるとあって、「夫より役に立つ」(情報筋)と評価している。

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また、オフラインでの決済にも変化が生じている。日本のPaypayのように、店に置かれたQRコードをアプリで読み込み、代金を入力すると決済が行われるものだ。「チョナトン」(電話+お金)と呼ばれる、携帯電話料金をチャージするシステムを使って、QRコード決済アプリにチャージできるようになっている。

アプリの名前は「ウルリム(響き)2.0」というもので、平壌情報技術局カード研究所が開発したものだ。パソコンでも利用できる。

以前も、ICチップの付いたカードに外貨でチャージして決済を行う「ナレカード」などが存在したが、銀行のキャッシュカードと紐付けられていることから、財産が当局に筒抜けになりかねないとして、使用をためらう人が多かった。

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しかしウルリム2.0の場合、加入費と決済時の手数料3%が自己負担になるが、そうした心配はない。北朝鮮ウォンの復権を目指す当局も使用を奨励しており、ユーザーが増えつつある。

(参考記事:北朝鮮でキャッシュレス決済が普及しない理由

北朝鮮ウォンの問題は、最高額紙幣が5000ウォン(約85円)であることから、ちょっとした買い物であっても、札束を持ち歩く必要がある。使い勝手の悪さと信用の低さから北朝鮮ウォンは不人気で、国内でも米ドルや中国人民元が多く使われている。度々出される「外貨使用禁止令」も実効性がなかった。

(参考記事:実効性ゼロの「外貨使用禁止令」を出し続ける北朝鮮

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しかし、スマートフォンさえあればすべての国営商店と、国に登録した個人商店でQRコード決済ができることから、ウルリム2.0は若い層を中心に人気が高まり、この数年でユーザーが急増した。だが、北朝鮮の商業の中心であり、トレンドの発信地でもある市場ではまだ使えないようだ。