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北朝鮮の朝鮮労働党中央委員会39号室といえば、数多くの貿易会社や銀行、企業を傘下に抱え、外貨を稼ぎ出す金正恩一族の「集金マシーン」だ。鉱山も多く保有しているが、いずれも今年上半期の計画(ノルマ)が達成できなかったことが明らかになった。

その原因は「無断欠勤」にあった。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、39号室所属の鉱山の労働者の出勤率はコロナ以降、顕著に低下している。労働者の待遇が悪く、配給や月給をもらえていないためだ。

上役にワイロを渡して出勤扱いにしてもらうことを「3.8ジル」というが、他の一般的な企業や機関で起きている現象が、39号室所属の鉱山ですら起きているのだ。

労働者の多くは、生きていくために無断欠勤して、商売などを行っているものと思われる。当局は、このような「職場離脱者」は違法だとして取り締まっているが、彼らは生活の糧を求めてあちこちをさまよっていることから、効果的な取り締まりは難しい。

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(参考記事:北朝鮮が繰り広げる「無職者を殲滅するたたかい」

鉱山の党委員会の幹部は、労働者の労働意欲を高めるどころか、むしろ低下させる発言を行い問題となっている。

殷山(ウンサン)鉱山の党委員会の幹部は、労働者が出勤しなかったり、真面目に仕事をしなかったりする現状を指摘し、こんな発言をした。

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「労働者がきちんと出勤して、金(ゴールド)を多く掘り出してこそ、元帥様(金正恩総書記)の懐が潤う」

間違ったことを言っているわけではないが、金正恩氏ばかり潤い、自分たちはまともな食事すらできないと、労働者の反発を買った。だが、問題にされているのはその点ではない。下手に金正恩氏の名前を挙げて発言することは、非常に危険な行為だ。

実際、「党の重要な資金確保に問題が発生しているにもかかわらず、軽口を叩いた」と問題視され、解任、撤職(更迭)が検討される事態となっている。

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出勤率が低いのは、殷山鉱山だけではない。

金正恩氏が進めるメガプロジェクト「平壌5万世帯住宅建設」の現場では、労働者にまともな給食がないため、倒れて出勤できない人が続出し、工事の進捗に影響を及ぼしている。

(参考記事:「金正恩住宅」の断末魔…現場で倒れる人が続出

また、金正恩氏が力を入れている農業分野でも事態は深刻で、食べるものがないため、多くの農民が働きに出られなくなっている。機械化が遅れているため、人が減ればその分生産性も落ちるのだ。

(参考記事:「もう食べるものがない」金正恩の足下で響き渡る悲鳴

そんな状況が、北朝鮮が最も重要視する39号室にまで及んでいる。このままでは、核兵器やミサイルの開発にも影響が及ぶこともあり得なくはない。