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北朝鮮の名峰、妙香山(ミョヒャンサン)。無数の峰々、滝が連なる朝鮮半島の四大名山の一つだ。

コロナ前には外国人観光客の定番コースだったが、まだ外国人の入国が原則として認められていないため、実際に行けるのはもう少し先のことになりそうだ。

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コロナ関連の規制が大幅に緩和されたことから、国内から訪れる人はいるようだ。平安北道(ピョンアンブクト)の名門校、新義州(シニジュ)第1高級中学校(高校)の生徒たちもその一角を占めていた。しかし、楽しいはずの旅が、悲劇になってしまった。現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

新義州第1高級中学校のあるクラスの生徒たちは先月末、妙香山を訪れた。元々は春に行く予定だったが、「田植え戦闘」(農村に動員され田植えを手伝う)により延期され、この季節になって2泊3日の日程で訪れた。

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スケジュールの中には、ボート遊びも含まれていたが、生徒たちは最低限の安全教育も受けないまま、2人1組になってボートに乗り込んだ。ライフジャケットもあるにはあったが、古くなってほつれてしまい、使えなくなっていた。

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そもそもボートに乗るのは初めてという生徒がほとんど。うち1人がバランスを崩してボートから水中に転落してしまった。そのはずみで大きく揺れたボートからもう1人も投げ出されてしまった。

現場にはライフガードがいたものの、名ばかりの存在で、水を恐れて救助に向かおうとしなかった。騒ぎを聞きつけた他の生徒たちが水に飛び込んで、2人を助け上げたものの、既に息がなかった。水が冷たく低体温症で亡くなったものと見られる。

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悲報は、地元で息子の帰りを待っていた親元に伝えられた。母親はその場で気を失った。

その後、2人の両親は、朝鮮労働党平安北道委員会の正門前に座り込み、「うちの息子が幹部の息子だったら、すぐにでも担任を処罰して、妙香山踏査宿営所の責任を追及しただろうに、平凡な親の息子だから何もしてもらえない」「ピンピンしていた息子が死んだのに納得できない」と抗議している。「万民が平等」をうたう北朝鮮が、いかにあからさまな階級社会であるかは、このようなところに現れる。

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さすがに党委員会もまずいと思ったのか、ライフガードの入れ替えを行った上で、問題を深刻に取り上げ始めた。海軍を除隊した軍人など、危険を犯してでも人命救助を行える人を配置すべきとの意見が出ている。

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また、ほつれたライフジャケットしか備えていなかった妙香山踏査宿営所に対しても、責任を問う方針だ。