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米サンフランシスコに本社を置くインド系IT企業のハッカーアースは5月20日から27日まで、ハッキング大会「メイ・サーキッツ23」を開催。世界各国から1700人が参加した。

圧倒的に多かったのはインドからの参加者で、その多くが上位入賞を果たしたが、彼らを差し置いて1位から4位を独占したのは、なんと北朝鮮からの参加者だった。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

北朝鮮の理系の名門、金策(キムチェク)工業総合大学は今月3日、ウェブサイトで「5月サーキットプログラム競演で優勝」と題し、次のような記事を掲載した。

2023年5月サーキットプログラム競演が20日から27日までハッカーアースサイトで行われた。競演には世界各国から1700人が参加し、一つの挑戦問題を含む8つの問題が出題された。競演ではわが校の学生が800点満点で1等を勝ち取った。また、3、4等をはじめ、10等以内に入った学生が3人もいた。彼らは今回の成果に驕ることなく、次回にはさらに大きな成果を挙げるためにさらなる努力をしている。

実際、「メイ・サーキッツ」のランキングには、1位、3位、4位、10位に「KUT_icpc」と同学の英語略称がある。2位には「RNS」が入賞したが、これは金日成総合大学の学生だ。4位まではいずれも800点満点を取っている。

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金日成総合大学金と策工大の学生はまた、先月17日から24日まで開かれた同様の大会に参加した。1位こそ中国の清華大学に奪われたものの、金日成総合大学は2位、金策工大は5位、6位、9位、21位に入賞するなど、非常に優秀な成績を収めた。

米国のIT専門家は、この手の大会が北朝鮮の学生のハッキング能力の向上に大きな役割を果たし、北朝鮮のサイバー犯罪を助長するリスクが高いと懸念を示したと、RFAは伝えている。

米ワシントンDCに拠点を置く保守系シンクタンク「民主主義防衛財団」(FDD)のサイバー・イノベーションセンターのアニー・フィクスラー所長は、RFAの取材に対し、「北朝鮮は大学を通じてハッカー人材を探しており、金日成総合大学と金策工業総合大学で主に募集していると知られている」「学生たちはコンピュータサイエンスを学び、能力の秀でた学生の一部が(北朝鮮)政府による世界的なハッキング攻撃に動員される」と指摘した。

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また、セキュリティ企業カスペルスキーのパク・ソンス研究員も、「北朝鮮の学生は海外プログラミング大会などで、続けて良い成績を納めているのは事実」「彼らのIT能力がどのような目的で使われるか正確にはわからないが、最近、ラザルスやスカークラフト、キムスキーなど朝鮮語ベースのハッキンググループのレベルを見ると、数年前より目覚ましく向上した」と述べた。

さらに「彼らが使用するツールや悪性コードもかなり精巧になり、IT環境の変化に合わせて様々な攻撃方式を使っている」とも指摘した。

日本経済新聞は5月、北朝鮮系のハッカー集団が日本の暗号資産を標的にし、2017年から7億2100ドル(約980億円)を日本から奪取し、全世界の被害の3割を占めていると報じた。

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国際社会の制裁で財政難に苦しむ北朝鮮は、ハッキングで暗号資産などを盗み出し、核兵器やミサイル開発の資金に使っているものと思われる。その人材を、金日成総合大学、金策工業総合大学が輩出しているということだろう。

世界トップレベルの北朝鮮のIT技術だが、莫大な富をもたらすと同時に、体制への脅威ともなっている。ITエリートは、パソコンや携帯電話の監視用ソフトを開発すると同時に、それを回避するソフトを開発して売りさばいていることが、デイリーNKの調べで明らかになっている。

(参考記事:金正恩命令に静かに反抗する、北朝鮮の「ITエリート」たち